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並列 (sideアーサー
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寝るまで、ユーリはずっとアヒルを抱えていた。
今も抱えながら寝ている訳だが。
ユーリの機嫌が治って安心した。
が、少し頬が赤いのが気になる。
指で髪を梳き、優しく頬をなぞる。
くすぐったそうに身をよじる子供が可愛らしくて仕方が無い。
もっともっと甘やかして甘やかして…。
「ユーリ…」
名前を呼び、横に寝る。
初めての夜に比べ、ユーリはぐっすり眠れているようだ。
じっと観察していると、急にユーリが寝返りをうちアーサーに向かう形になった。
綺麗だがまだ可愛らしいあどけなさが残る顔に釘付けになる。
アーサーと暮らすようになってからユーリは少し顔色が良くなり、頬もふっくらとした。
身長は相変わらず低いままだが。
ユーリの成長に、素直に喜びを感じる。
子育てに似たような感情だろうか?
いや…少し違うような気もする。
「ユーリ……」
もう一度名前を呼び、額に口付けをした。
愛しさを込めて。
私には愛情表現というものがあまり出来ない。
だからユーリは私を怖がる。
ユーリには愛情を注がなければならない。
もっと笑って欲しい。
できれば、私に笑いかけて欲しい。
そんなことを考えて、またユーリの額にキスをする。
ふと、ユーリの目がぼんやりと開いた。
しまった。
起こしたか?
しかし、ユーリの目は焦点が合ってないようで、寝ぼけていることがわかる。
「…ぁーさ…さま……」
「っ…」
擦れた声で名前を呼ばれ、胸が高鳴った。
ユーリがアーサーのシャツを掴み、ずりずりと寄ってくる。
ぼんやりとした顔が近くなった。
「あーさーさま…」
アーサーの名前を呼びながら胸に顔をうずめた。
どくんどくんと心臓が脈を打つ音が煩い。
そっとユーリの背中に手を回し、ぐっと抱き寄せる。
ユーリの体は思ったよりも柔らかく、温かかった。
「ん……あーさーさま……るじん…」
「………そいつと並べるな…」
アーサーは眉間にしわを寄せたが、自分の名前が出ただけでも嬉しいことに変わりはない。
だが。
「いつか…私の名前だけ呼ばせてやる…」
アーサーはユーリの頭を撫でながら目を閉じた。
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