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部屋
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アーサーは後ろをチラリと確認すると、書斎とは違う通路に曲がった。
アドルフに嘘をついてまでも行きたかった場所。
もちろんユーリの部屋だ。
向かう途中で、メイドが向こうから歩いてくるのが見えた。
軽い挨拶を交わしてきたメイドを引き止め、一言
「…ユーリの部屋に私の夕食も運べ。」
それだけ言うと、またさっさと歩き出した。
「…ユーリ…」
アーサーは高まる気持ちを抑えられず、だんだんと足早になっていった。
「……………………………」
扉の前に立ちドアに手をかけたところで、中から声が聞こえているのに気づく。
「……ユーリ…?」
(………誰と話してる……?)
懐から鍵を取り出し、そっと鍵穴に差し込む。
カチャリと小さな音を立て、扉が開いた。
そのままゆっくりとドアを開け、中を確認する。
「…あひるちゃん、もう暗いよ?夜っていつ?」
『ピャフッ』
「もう少し?さっきもそう言ってたでしょ。」
普段聞かないような、ユーリのハキハキとした強めの声が部屋に響いている。
…それと、ゴムのおもちゃの音も。
「じゃあアーサーさまはいつ来るの?」
『ピャフッ』
「…うふふ…そっか…」
何に笑っているのかはわからないが、楽しそうなユーリの笑い声に胸が高鳴った。
自分を待っている。
待ってくれている。
それが嬉しかった。
「…ユーリ。」
室内に入り名前を呼ぶと、ユーリが整った綺麗な髪を揺らしながら振り返る。
「…アーサーさま…。」
膝の上にはゴムのアヒルが乗っていた。
(………こいつと話していたのか…?)
「…今戻った。」
「お帰りなさい…!」
ユーリは立ち上がると、アーサーに駆け寄った。
アーサーは無言で、そっとユーリの顎に手を回す。
「………………ん………」
いつも通りふにゃりと緩んだ顔に、アーサーの顔も緩みそうになる。
そこから顔のラインに沿って徐々に手を上げ、頭に手を乗せた。
いきなり頭に手を乗せれば怖がられると思ってのことだ。
「……………そのアヒルはそんなに気に入ったのか?」
「はい…!おともだちになりました…!」
「そうか……」
笑顔に癒される。
アドルフからのストレスが消えてなくなるような気さえした。
「……夕食は私もここで食べていいか?」
「ここで食べるんですか!」
途端、ユーリは目をキラキラと輝かせる。
「お、俺も一緒に食べて…いいですか…。」
「…それを私が聞いている。」
「あ、お、お願いします…。」
ユーリは恥ずかしそうに呟いた。
「…ではその時に、今日あったことを話してくれ。」
「…え……俺の話…ですか……?」
「そうだ。私はお前の話が聞きたい。」
「は、はい…!」
ユーリはこくこくと頷き、アーサーに微笑んだ。
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