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女
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彼女の名前はサラ。
幼い頃からアーサー家に仕えているメイドだった。
だからアーサーのことも昔から知っているし、年は近いのに自分よりも何倍も頭が良いアーサーに一種の憧れを抱いていた。
何事にも表情を崩さず、慌てず、狼狽えず、幼い頃から両親が家を空けることが多かったために既にその頃から城の次期主としての振舞いを心得ていた。
気高く、美しく、冷静に。
何年も働いてはいるが、自分はアーサーに顔すら覚えてもらえていないのだろう。
それでいいと思っていた。
それでも構わないと。
『ユーリ』
でも、優しい声を出せるということを知ってしまった。
『ユーリ、眠そうだな…大丈夫か…ほら、こっちに来い』
『ユーリ、今日は天気がいい…庭に行こう』
『ユーリ、何が食べたい?何が欲しい?』
『ユーリ……ユーリ』
心底愛しているのだな、と思った。
誰よりも、エイダよりも。
でも、同時に、彼が人に愛情を注げる人間だとわかってしまった。
確かにユーリは美しい。
でも男だ。紛れもなく。
「女の自分よりも、奴隷の男を選んだ。」
その事実が鉛のように心に残って、冷え続けていた。
そんなある日、エイダから話を持ちかけられた。
光が差したように思えたのだ。
ユーリが消えればいいと、追い出されればいいと、そう思ってしまった。
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