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長い嵐
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雨の中、エイダは荷物と共に馬車に乗せられ自分の城へ帰された。
エイダの両親はエイダの悪事が明るみに出ることを恐れ婚約破棄を受け入れる他ないだろう。
奴隷は主人の持ち物であり、それに傷をつけることや誘拐をすることは盗みと同等であり、重罪だからである。
深夜、ケイが仕事を終え自室に戻ろうとするとユーリの部屋から微かな灯りが漏れているのに気がついた。
そっと扉の隙間を開いて覗くと薄暗い中でベッドサイドの椅子に座ってユーリの手を握るアーサーの姿が見える。
「アーサー様、そろそろお休みになられて下さい。」
「……ケイか」
「はい」
「…ユーリの体力では医者のいる街まで行けないと言ったな…」
「…はい」
「なら、医者を城に…ここで手術をしてもらう。必要な器具はリストにして渡してもらえれば私が必ず揃えると伝えてくれ。来るにあたって掛かる費用も、食事も、必要なら助手も………」
「わかりました」
「…、……すまない…私は…」
項垂れるアーサーに、ケイは少し笑って自分の肩にかかっていたブランケットをかけた。
「…私に謝っても仕方がないですよ、アーサー様。」
「………そうだな…だが私はお前にも……」
「いいんです私は。それより明日アリアさんに。」
「……ああ…」
「…おやすみなさい、アーサー様。」
「…………」
足音が遠ざかり、また部屋に静寂が訪れる。
アーサーはユーリの手を握ったまま一晩を過ごした。
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