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アーサーという人間
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「アーサー様、ユーリの手術が無事終わりました」
「あぁ……」
「見舞いに行かれないのですか?」
「…そうだな…その内に……」
「……………………………」
「……………………………」
ケイはどこか別の方を見て話すアーサーの手が微かに震えていることに気がついた。
「会うの、怖いですか」
「………あぁ…」
「………………………」
「怖くて怖くて堪らない…ユーリをあんな…私はどんな顔をして何を言えばいい…?」
「………………」
ガクガクと震えるアーサーに、もはやユーリはアーサーの全てなのだとケイは知った。
それなのに、自分の一番大切なものを一時の感情の昂りで容易く失いそうになっている。
ケイはアーサーの背中にそっと手を這わせ、なだめるように優しくさすった。
「…これが本来のアーサー様なのですね。」
「…なに…?」
「最初会ったときは表情が張り詰めていて、どこか攻撃的で…弱みなどない人間…いや、人間よりも少し別の存在のような方に思えました。」
「…………、……そうか……」
「…けど、本当は…こんなにも優しくて…弱くて…大切なものを失うことを何よりも恐れていて…とても人間らしい。」
「……、…はは…そうだな…私は弱い……だから弱みを見せずに必死に…」
「でも、ユーリには素で接しられていたのですよね。だから、大切な存在なんですよね。」
「……あぁ……」
「まだ、目を開けないでしょうし……明日、様子だけでも見に行きましょう。」
「……………そうだな………」
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