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一難去って
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「一種の記憶障害です…何かショッキングな出来事があり、それを受け入れられなかったとき、幸せな記憶を別の誰かと過ごしたと思うことで自己保身をなさっているのかと…それにここ数日の記憶は皆無…彼の場合は症状が重いようですね…」
医者は難しい顔で手元の紙とアリアを交互に見る。
アリアは椅子から少し乗り出してその紙を見たがよくわからなかった。
「……そんな…こと……あるんですか……?」
「実例は多くはありませんが…彼は恐らくその可能性が高いです…残念ながら明確な治療法は……周りの方々が努力して思い出させてあげる他ありません…」
「そう…ですか……」
絶望めいた色を顔に浮かべるアリアの肩に手を置いて医者が首を振る。
アリアは俯いた。
「お力になれず……」
「いえ…」
「きっと…思い出せますよ。」
「……はい…ありがとうございました……」
医者の見送りも忘れ、アリアは椅子に座ったまま放心していた。
「……嘘でしょ………」
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