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似てる人
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「…………………、………」
「…な、なんだ、その顔は…」
いつの間に目が覚めていたのか、ふとユーリの顔を見ようとして腕の中のユーリの目が零れ落ちそうなほどに見開かれていることに気がついた。
見たことのない顔で硬直しているユーリの目の前で手を振ると、ユーリはハッとした顔でぎこちなくこちらを向く。
「……ご、ごめんなさい…ごめんなさい……おれ…お、おれ…ここは…あの…おろ…降ろしてくださ……」
震えながら涙を浮かべて謝ってくるユーリに笑いが漏れる。
「…いや…私がこうしていたい…もう少しこうさせてくれ…」
「…?…?あの、おれ、おもいですよ…?それに、それ、に…あと、奴隷だし…きたないです…から…」
「お前ほど綺麗な人間を私は見たことがない。」
「………???」
ユーリを抱えたまま花畑の真ん中まで進んで、その場にしゃがみ込んだ。
「…ぁ……」
「この花を…どう思う…?」
「…………………………………」
ユーリはじーっと周りを見回して、首を傾げる
「…見たことが…あるような気がします…」
「…そうだな…、この花畑はお前のものだ。」
「……えっ!?」
「…元から…お前のものだ…」
アーサーはいくつか適当に花を摘んで花冠を作った
それをまだ戸惑っているユーリの頭に乗せる。
「よく似合うぞ。」
「………………ぁ……ぁっ…えっと……あの…」
「…花冠だ。昔母に教わったのをまだ覚えていた。」
「…………………………………」
ユーリはまた驚いたような顔でこちらを見た
「……アーサーさま…は……おれのご主人さまの…アーサーさまに似てます…すごく……」
「…そうか」
「……おれに…お花畑を…下さって…それで…花かんむりを……同じように……」
ユーリは何かを思い出すように、俯いて指を折る
(思い出してきたのか…?)
「………その……そのアーサーのことは、どう思う…?」
「えっ…」
「……どうだ…?」
「……………………、……」
ユーリは少し俯いて花をいじりながら、チラチラとアーサーを見上げてきた。
「心配するな、”そっちのアーサー”には言わん。」
「………ぅ………………」
ユーリは暫く黙っていたが頷いてぼそりと零す
「…………あの…すごく…怖いです…ご主人さまですから……」
「…………」
わかっていたことだったが、直接本人から聞くと痛いものがあった
アーサーは内心落ち込んでいた。
「…そう…だったのか…」
「…おれは…奴隷だし…アーサーさまは、優しくして下さるけど…でも……」
「………………………………」
「すごく、おれのために、いろいろしてくださって…嬉しいけど…だけど……なんでおれのためにこんなことまでしてくださるんだろうって…………」
「………それで…?」
「…、…おれ、アーサーさまのことだいすきですけど…アーサーさまは…違う、と…思う…から…」
「…………………………………………」
「………、………」
(ここまでくると…鈍感すぎるというか………まさか全く気がついていなかったとは……)
「…アーサーさま…?」
1人で思案して黙り込んだアーサーに不安になったユーリが覗き込んでくる。
アーサーは慌ててユーリの頭を撫でた。
「…ん、あぁ…いや、…その…アーサーもお前のこと…好きなんだと思う、ぞ…」
ユーリの中での”アーサー”は今の自分とは違うが、自分で言っておいて後半照れてしまった。
「……!ほ、ほんと…!ですか…!」
「……………………」
(そんなに目を輝かせて……他の男のことだと思うと…しかしそれも私か…どうも…ややこしい……)
「……私にはわかる。私は嘘は言わない。」
「……えへへ、そうですかね……えへへ……」
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