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夢の世界
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眠っているはずのユーリが涙を流した。
月光に照らされた顔は死んでいるのかというくらい白く穏やかで、アーサーは直接触れてその温かさを確かめずにはいられなかった。
「…ユーリ…………」
思い出してほしいのに、思い出してほしくない。
都合の悪いことは思い出さないままでいいと少しだけでも思ってしまう自分が腹だだしくて、アーサーは血がにじむほど拳を握った。
「…早く思い出して…私を責めてくれ…償わせてくれ……一生をかけてお前に………」
ユーリにもう2度と消えないであろう傷をつけた。
それは今後どこまでもユーリを苦しめ、それ以上にどこまでもアーサーを苦しめる
自分で作ってしまった跡が一生をついて回り、アーサーの罪悪感を一時も休まず抉り続けていくのだろう。
「…愛してるんだ……愛してる……ユーリ……」
ユーリは少し前までの”優しいアーサー”を求め記憶を別のものにしてしまった。
ユーリを信じられず傷つけた自分ではない。
それでも、アーサーはアーサーなのだ。
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