アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
企み (sideアドルフ
-
翌朝。
アーサーは目が覚めると同時に、まだ隣で静かに寝息を立てるユーリの頬を撫でた。
しばらくすべすべの肌を撫でていたが、名残惜しそうに手を離しベッドから降りる。
「ユーリの誕生日…」
昨日決めたものだが、今日がユーリの誕生日なことに変わりはない。
アーサーは素早く身支度を済ませると、そっと部屋から抜け出し鍵をかけた。
「おはよう、アーサー兄ちゃん。」
珍しく朝早くに起きているアドルフに、アーサーは少し驚いたように見える。
が、またすぐに無表情に整えた。
「どっか行くの?」
「仕事にな。」
嘘つき。
「……アーサー兄ちゃん忙しいんだね。」
「まぁな。」
そんな風にどこか上辺だけの会話をしながら朝食を済ませると、アーサーはアドルフに何も言わずメイド達を連れて屋敷を出て行く。
何をしに行ったのかはわからないが、アドルフには好都合な状況だった。
「さて。」
パンッと手を叩くと、メイド達の注目が集まる。
アドルフはそれを満足気に眺めゆっくりと口を開いた。
「そのクソ奴隷はどの部屋にいるの?」
にっこりと楽しそうな顔で汚い言葉を使う姿はまるで小さい悪魔だ。
「……ぁ、あの……やはりそれは言えませんわ……」
………………昨日も僕に逆らったメイドだ。
後で適当な理由をつけてアーサー兄ちゃんに解雇してもらおう。
逆らうやつなんかいらないし。
「お前の名前は。」
「……アリア…です。」
「あっそ。あんた今日までだから。」
「…え…?そ、それはどういう……」
青ざめたアリアを構わず押し退け別のメイドの元に向かう。
昨日奴隷の場所を教えてくれたやつだ。
もっと詳しく聞けばわかるはず…
「おい、お前の名前は。」
「リザです、アドルフ様。」
……こいつは使えそう。
「お前なら…教えてくれるよな?」
「2階の西側の奥から3番目の部屋ですわ。まだ寝ているかと。」
「鍵は?」
「かかっております。」
「どこにあんの?」
「ここに。」
メイドはスカートのポケットから鍵を取り出すと、迷わずアドルフに差し出した。
「助かる。リザは僕の屋敷で働くといいよ。母様に言っとく。」
「光栄でございますわ。」
その言葉にメイドが頭を下げるのを見届けてから扉に向かった。
行き先は決まっている。
さて、どうしてやろうか。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
53 / 207