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Episode4
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誘拐犯のご主人様。でも、そんな人でも、俺の心の大半を占めている事に変わりはない。
…俺は十数年も軟禁されてきたんだから。
「…ごしゅじ、さま…どこ…」
冷静に考えている心とは裏腹に、口から出た言葉は弱々しくて。こういう時に、目隠しは嫌だ。視覚的な情報が、一切入って来ないから。目隠しされても安心していられたのは、ご主人様のいる場所だと分かっていたからだ。取ろうと思えば簡単に取れる目隠しだって、取れない理由はただ一つ。
“怖い”から。
ずっと目隠しをされてきた俺は、ご主人様の顔を一度だって見た事がない。盲目でない俺に何故目隠しをするのか、それに疑問を持った事はない。
俺にとって、ご主人様は全てだから。
食事も生活も、人生すらも握られたあの時から、ご主人様は俺の全てで。
「…ご主人、さま…」
だから俺は、ご主人様が居ないと生きていけない。
「…ご主人様…」
誰に聞こえるわけでもない情けない俺の声は、
いつまでも空を漂い続けていた。
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