アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
Episode7 side?
-
「侑君、残念ながら僕は、ご主人様じゃないんだよ。」
「…は…?」
残念だけど、君のご主人様は警察に行ってる。証拠も確かなのだから、きっと今頃は刑務所行きだろう。
「今日から君の担当医になった、珠川 時雨と言います。侑君、宜しくね。」
これはマニュアル上の事。精神科の病人に初めて話しかけて、答えが返ってくる方が珍しい。こういう身の上の子なら、尚更だ。
「……。」
僕の予想通り、彼は反応を示さなかった。どうやら、聴覚は過敏らしい。無理に会話をする必要はない。彼の「ご主人様」以外の人間と過ごす日常に、慣らす必要はあるけれど。
それより先にやらなくてはならない事がある。
侑君の目隠しを外す事だ。視覚以外は自由になったのに、彼は目隠しを外さない。
それは即ち、「外せない」と考えているから。視覚的情報を今からでも取り入れさせないと、彼はこの先生きていけないかもしれない。
十数年使っていなかった目は、もしかしたらもう機能しなくなっている可能性すらある。それを含めて、確認しなきゃならない。
今やるべき事は、目隠しと共に、彼の心の拘束を取り払っていく事だ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
9 / 250