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Episode61
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「分かるよ、僕も君と同じだから。」
「…は…?同じって…?」
「そのままの意味だ。それにね、僕は君が思ってるよりも大人じゃないよ。」
白衣を着た精神科医。
いつもは歪に感じた事なんてなかったのに、今日は白衣に着られている感じがする。
子供に、戻った?それも、悪い意味で。
「…精神科医がこんな事言ったらいけないんだろうけどさ。人間がね、本当に善意で親切をするなんて有り得ない事なんだ。
人間は、元々劣等感の塊。だからそれから少しでも逃れる為、人より優れる為に、親切を施すんだ。」
何が言いたいんだ…?
「だからね、他の大人も僕の事も、無理に信用しなくて良いんだよ。
常識にガチガチに縛られた大人なんて、見苦しいでしょ?綺麗事ばかり言う大人達も醜いよね。僕だって、君にとっては所詮同じだろうけど。」
いつもより雄弁な担当医は、いつもの雰囲気じゃない。
自分を信用するな、なんて言う大人が居るんだって、
そう思った。
常識だらけの大人と、綺麗事ばかりの大人を醜いと言った担当医の声は、今までで一番よく染み込んだ。
…こいつなら信用しても良いなんて、少しも思っていないけど。
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