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Episode70
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適温に保たれた病室に戻ると、看護師が昼食を運んできた。不味くはないけど、美味しくもない食事。
看護師にまたうだうだと言われるのはごめんだと思って無理矢理胃に流し込んだ。
俺は胃が縮んでいるらしく、更に食べる速度も遅い。
だから、やっと食べ終えて食器を下げられた頃には
もう二時になっていた。
あと十分、五分、三分、一分…。
「…兄さん、いる?」
時間丁度に、湊は姿を見せてくれた。
低いけれど柔らかい声色は、素直に心に染み込む。
声を聞いただけで、十数年も前に遊んだ記憶が鮮明に蘇る。
「ね?ちゃんと、来たでしょ?」
一時でも疑った俺を見透かすかの様に、微笑みを浮かべた湊。
その微笑みの中に少しの棘も感じられないのは、都合良く考えても良いと言う事だろうか?
「じゃあ担当医さん、二人きりにして頂けますか?」
「はい、分かりました。」
担当医が病室を出ると、湊はまた微笑みを浮かべた。
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