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Episode87
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「…っく、はぁ、は…」
未だ荒い呼吸であるものの、珠川の呼吸は整いつつあった。
今は、白衣なんてもの似合わない、目の前の男。
こいつが過呼吸を起こしたのも、医者らしくなくなったのも、過去を聞きたがった俺が原因。
…少しだけ、罪悪感を感じたりして。
「大丈夫ですよ珠川先生。」
「…すみ、ませ…」
「少し、取り乱しただけの事ですよ。大丈夫です。
あ、河合君も、ありがとうね。」
感謝される意味が分からない。
ただなんとなく、ナースコールを押した事かなとは思った。
「…もう、大丈夫です。ご迷惑をおかけしました。」
「そうですか。また何かあったら呼んで下さい。」
しっかりした呼吸と口調で、看護師を病室から出した担当医。
さっきまでとは違い、「男」から「医者」に戻った。
「ごめんね、迷惑かけて。
いつもなら、過呼吸起こしても自分で対処出来るんだけど…」
苦笑する担当医に、先程までの面影はなかった。
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