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Episode93
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身体が水に沈んでいく様な感覚。
けれど苦痛はなくて、ふわふわとして。
暗闇の中であちこちを見ていれば、一点の光を見つけた。
水を進む様に掻き分けていくと、すぐに辿り着いた。
『…時雨っ!』
低く、怒りを帯びた怒鳴り声が聞こえる。
時雨?珠川時雨?俺の担当医か?
光を更に進んでいくと、綺麗で広い部屋が見えた。
難しそうな本が多く並んだ、書斎らしき場所。
そこに、四、五十代の男と、若い青年が居た。
青年は男に時雨と呼ばれていて、男は青年にお父様と呼ばれていた。
男は青年に土下座をさせ、ひたすら「不良品」「役立たず」と罵っていた。
次のシーンでは、男が青年に暴力を加えていた。
煙草を押し付けたり、冬に水風呂に入れたり、首を締めたり、刃物で身体を切っていたり。
どうしてそんな夢を見ていたのかを、考えるつもりはなかった。凄惨な夢に、心が痛んだからだ。
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