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Episode159
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大事にしてしまった事を後悔している担当医から、帰り道何度も謝られた。
実際にリンクはなかったらしいけど、俺はそうは思わなかった。湊はまだ起きていない。
…櫻井さんの家に着いた時、重大な異変があった。
「湊君!?」
湊が寝ていた筈のベッドには、湊の姿がなかった。
点滴が外され、垂れた針は床に落ちている。
ベッドは乱れていて、布団も床に落ちていた。
「湊っ!」
必死に捜索する。
櫻井さんの家は収納スペースが多いから、一つ一つ見て回らなければならない。
替えの鍵はないらしいから、外に出た可能性はない。
クローゼット、机の下、トイレ…。
風呂場の扉を開けると、バスタブの中に湊はいた。
体育座りで、小さく丸まっている。
「…湊…」
声をかけると、湊は顔を上げた。
その顔は蒼白で、頰から血が垂れている。
「兄さんが初めに見つけてくれたんだね。」
ゆらりと立ち上がり、俺の方へ歩いてきた。
足取りは不安定。
「…見つけてくれて、ありがとう。」
抱きついてきた湊の体温は、低い。
でも俺は、拒絶されなかった事に感動した。
俺のせいで気を病ませてしまっていたから。
音を聞きつけて風呂場にやってきた二人は、ほっとした顔を浮かべた後、蒼白になった。
…優しい声を出していた湊が喉の奥で笑う声が、耳元で聞こえた気がした。
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