アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
Episode164
-
歩いてきた担当医は、俺と湊の目の前でぴたりと止まった。俯いたままだった顔は、そこでやっと上げられた。
「湊君、今…苦しいでしょ?」
同情とも哀愁とも分からぬ表情と声色で、そう湊に語りかけている。
「櫻井先生から聞いたことない?僕と湊君は似てるって。」
「…あるよ。相性悪いのは、同族嫌悪みたいなものなんでしょ。」
「そう。だから多分、僕が一番湊君の気持ちを分かっていると思う。」
「別に分かって貰わなくて結構だよ。俺は、脅しで兄さんにナイフを当てているわけじゃない。」
「脅しじゃないけど、殺すつもりもないんだよね?
先生は、湊君が侑君を殺したら後悔するって言った。
でも本当は、罪悪感でいっぱい。」
湊は、言い返す事もなくじっと担当医を見ている。
「『こんな俺』が弟で良いのか。
『こんな俺』なんて、牢屋で過ごすのが合ってる。
『殺人鬼の俺なんて』…そう思ってるんでしょ?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
187 / 250