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Episode169
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「なんで死なせてくれないの?なんで殺してくれないの?」
湊が、俯いた。ぶつぶつと頻りに何かを呟いていて、また湊の状態が悪い方に転がった事を知った。
担当医は賺さずナイフを自分の脱いだ白衣で包み、遠くに置いた。
しんと静まり返る部屋に、湊の小さな声だけが響く。
「先生、助けてよ…」
ぶるぶると震えながら、湊は櫻井さんに抱きついた。
櫻井さんが湊の背中に手を回した瞬間、何かが叩きつけられた音が聞こえた。
湊が、櫻井さんの首を締めて壁に叩きつけている。
「俺はまた、殺人鬼になるのかな?先生、怖い?死ぬの。」
「…別に、怖くないわ、」
「俺は怖いよ、死ぬの。」
「…矛盾、して…るじゃない、」
その言葉を言った途端、余計に首を締め付けられた櫻井さんは、その数十秒後に意識を飛ばした。
「…あーあ、もう落ちちゃったの。」
出血多量に酸素不足。
貧血に陥っていたらしい櫻井さんは、普通の人よりも酸欠に陥るのも早かった。
それよりも今は、早く湊と櫻井さんを引き離さなければならない。湊だって、出血が多い。
「手当をしよう。」
何を思ったのかそう言って立ち上がった担当医は、物怖じせずに湊に近寄って行く。
しゃがんで、湊との目線を合わせた。
「…戻っておいで、湊君。」
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