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Episode177 side時雨
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「湊君が家事出来るらしいし、家電の説明は要らないね。料理は出来る?」
訪れた自分の部屋。もし湊君に少しでも変な様子があれば、すぐに引き離すつもりで此処に来た。けれど、思いの外変な様子はない。
目をじっと見ても、殺意など露ほども感じられない。
せいぜい、僕への同属嫌悪ぐらい。
だからと言って、安心出来ないのは分かってる。
今まで、人を信頼して、同時に同じ心が返ってきた事の方が少なかった。こういう時に信じてしまいそうになるのが自分の悪い所だから。
…全てを疑う。
そんな警察がよく言っていそうな台詞を、いつも僕は心に留めている。
「料理?まぁ、簡単なものなら。」
「そっか。あ、スーパーとかコンビニとかの場所まだ分からないよね?今日案内しておこうか?」
「いえ大丈夫です、簡単な地図だけ描いて貰えれば。
この辺、そんなに入り組んでいなさそうだし。」
湊君は、洞察力が鋭いと思う。そして、簡単に人を信じない。友也さんの事すら、まだ完全に信じてはいなさそうだし。
侑君は、その逆。
簡単に人を信頼してしまう。人を観察する目は養われていても、それを活かせていない。
だから湊君に対して危機感を抱いていたとしても、注意力が足りないから意味がなくなる。
「はい、描いたよ。あとは、分からない所ある?」
「俺はないけど…。ある?兄さん。」
「…ない。」
顔は似ていても根底に潜むものは全く違う。
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