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天使様
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寒い。
身体を丸めてなるべく熱が逃げないようにするけど、意味がなくて、身体に降り積もる雪がどんどん体温を奪っていく。
誰か、だれか…死にたくない。どんなに苦しい人生でもいい。生きたい。まだ息をしたい。何かを見たい。触れたい。歩きたい。話したい。笑いたい……嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だイヤだ嫌だイヤだイヤだイヤだ…!
「……ねぇ、エドガー」
体が、ほんの少しだけ軽くなった。
「この雪の下さ、人がいる気がするんだよね。もう死んじゃってるかな?」
また。たまに、暖かいものが触れる。
「……ああ、生きてる。まだ息もあるし、瞬きもしてる。エドガー、こういう時ってさ、人道的に動くべき?」
とっても綺麗な、金髪碧眼の天使がいた。
ああ、そっか。ぼくもう死んじゃったのか。
「そうですね、すぐに手配させます…近くの病院へ……」
「病院より城の方が近いよ。早く連れていこう」
すっと抱き上げられる。こんな泥だらけなのに。綺麗な服が汚れてしまう。
「ねえ、聴こえてる? 聴こえてなくても聴いてもらうけど」
ぼくの顔を覗きこんで、綺麗な顔を少し顰めて天使様は面倒くさそうにぼくに言った。
「せっかく見つけたのに、死んじゃったら意味ないから、死んだら許さないからね」
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