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馬鹿みたいに。 ※智春視点※
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直先輩にメールでざっと説明されて、先輩の言うとおりに屋上に来た
木下の元彼であり俺の友達でもある静を連れて。
「ひさしぶり……だな」
「…………うん」
うん、気まずそうだな
まぁそりゃ元恋人と向い合ってんだもんな
気まずくもなる
「…………!」
重い沈黙がしばらく続いて、木下が目線で直先輩に助けを訴えた
直先輩もさすがにこの状況を作ったという悪気はあるらしい
こほんと咳払いをして木下の横に座った
静のとなりに俺
木下のとなりに直先輩、そしてその隣になぜかいる木村先輩
そんなフォーメーション。
そして直先輩が木下に向けてきりだした
「おせっかいとは思ったが、智春のほうから事情は説明してもらった」
「事情…ですか?」
木下が首をかしげる
俺は直先輩の代わりに
「ストーカー先輩うんぬんの話を、な。説明したっつっても、直先輩からのメールをそのまま伝えただけだけど」
と答えた
『木下の元彼にこれを伝えて、屋上に連れてきてくれ』
そんなメールだった
…ほんと、なんか妬けるよなぁ
初めて送られてきた直先輩からのメールが木下のためのものとか。
そりゃま、言われたとおりにしたけどさ…
事情は伝えた。あとは本人次第。
「……」
木下はなにか諦めたように俯いている
静はそんな木下を、遠慮がちに見つめていた
そしてぎゅっと口を結んで
「ごめん、晴香!!」
と、頭を下げた
晴香……あぁ、木下の名前か?
「……え?」
木下はそんな静に目を丸くしている
木下と静の視線が、初めてあわさっていた
「俺、お前が2股とかしてないのほんとはわかってたのに…信じれないとか言ってごめん。お前からきちんと説明してほしくて…ほんとにごめん!」
「…え…や、ちょ…ちょっと待って…」
…普段猫っかぶりのくせに、こんなんでテンパるんだ?
いや、猫かぶってるからこそ突然なことに弱いのか。
わたわたとする木下に、静はさらに続ける
「ごめん…いまさらこんなん言って、ごめん…!」
「えと…わ、私も……説明しなくてごめん」
しおらしいな、おい
少し前には直先輩にすりよってたくせに…
女ってこれだからわかんねーんだよ
いや、優さんはこんなんしないだろうけど!
「お前は謝んなよ。俺がちゃんと聞かなかったからだし…」
「そんなことないよ!…それに」
「?」
「…いまさらじゃ、ないよ…」
「晴香…」
「静……」
うわぁ、親友のラブシーンとか見たくねー…
直先輩も木村先輩も、最初とは違う意味で気まずげにしている
まぁでも一件落着か?
さんざん人をふりまわしておいて…あとで木下にはなんかしてもらわねーと。
つか直先輩もさんざん付きまとわれたのによく相談とか乗るよなぁ…
「行こっか」
木村先輩が小声で俺達に声をかけた
「そーすね。思っきしジャマですし」
ジャマっつーか、これ以上はいたたまれないっつーか?
木下先輩がすくっと立ち上がった
俺もそれに続こうとしたとき
「おい、智春」
直先輩がそう言って立ち上がった
「あ、ハイ。なんですか?」
俺も立ち上がりながら、直先輩を見上げる
すると先輩はそんな俺の頭に手を乗せた
そしてくしゃりと髪を撫でて
「さんきゅな」
と言って、にこっと笑った
………わー…
なんかすごく
馬鹿みたいだ、俺
無駄に嫉妬して拗ねて、でもこんなひとことでたまんなく嬉しくて
馬鹿みたいに、先輩が好きだ
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