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【番外編】滴る1
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嫌だ、やめてくれと、何度繰り返して訴えただろうか。同じ言語を話しているはずなのに、男との会話は一向に噛み合わない。
男は俺のことを「好き」だと言う。
そして何故かそいつは、俺も男に同じような好意を抱いていると錯覚をしている。いやむしろそれは男の妄想に近いのだろう。
最初は親切な先輩を装って近づいてきた男に、確かに少なからずの好感を持ったこともあった。
自分とは住む世界が違う人間。光に馴染んだ振りをする俺にとっては眩しい存在だった。
けれど今は違う。嫌いだ。大嫌いだ。この男にはもう、嫌悪感しか感じない。
酔ったところを部屋に連れ込まれ、連れ込まれた先にあったのは俺を悩ませていたストーカーがその男であったという証拠。
それを責める前に、理解が追いつかぬ前にそいつは俺を犯してきた。
裏切られたと、騙されたと気づきながら、恥辱の行為を受け入れさせられたのだ。
それからもその悪夢は終わらない。
俺を犯した男はその後も俺を離そうとしなかった。
部屋に閉じ込め続け、何度も恥辱の行為を繰り返す。
常に後肛には快楽を引き出すとためにと異物を入れられ、排泄すら管理されていた。
宍戸巧(ししどたくみ)、その男はまた俺を組み敷いて笑う。
一般的にはカッコいいとか、イケメンだとか……そんな風に言われる容姿かもしれないけれど、残念なことにそれを俺が感じることはない。
この男に対する好意の感情なんて、既にもう持ち合わせていないのだ。
「酷いじゃないか聖……いきなり殴るなんてビックリしたよ……」
男の額に、血が滴り落ちる。
うるせぇよ。テメェが悪ぃんだろうが死ね!
そう吐き捨てたい衝動にかられたが唇を引き結んでそれを堪える。
顎を伝って落ちた血は本来赤い筈なのに、薄暗い部屋のせいか黒く見える。
「…………っ……」
「…………そんな怯えた顔をしないで? 怒ってないから……」
男が油断した隙に、昏倒させて逃げ出そうとした。
怒ってないからと言って笑う男の目は、言葉とは裏腹にめちゃくちゃ怖い。
真っ暗な室内でも見えるようににと男が用意たデジタル時計。
クーラーの風除けとなるシャツと拘束具、それと後肛に入れられたままにされた異物以外、俺が触れれるものなど何もなかった。
その時計を枕元に置いて、また俺を犯す準備を始めた男へ向けて、俺は渾身の力を込めてそれを振りかざしたのだ。
けれど男の動きを止めるためには、殴りつけた物の重量が足りなかった。そして殴った俺自身の力もだ。
渾身の力を入れたはずなのに、後肛へと入れられたままの異物がそれを阻んだ。それとも、男は初めからそれを見越していたのだろうか。
殴った直後、男からはすぐ反撃された。
関節技なのか、腕を固定され、押し倒す男の動作に驚く暇もなかった。
「……! めろっ……! 縛んじゃねぇよ!!」
もっと殺すつもりで殴ればよかった。
どうしてもっと強く殴れなかったのだろうか。
組み敷いてくる男に腕を拘束されそうになり、恐怖と嫌悪感で目眩がした。
「くそっ……!!」
体格では叶わない。それでも必死に抵抗する。
「あぁ……もう……どうしたの聖?」
マウントを取られて両腕を縛られる。
クソ野郎。触るな。キモいんだよ……そう心の中でありったけの暴言を吐く。
言葉には出せない。思うこと全て言葉にだして、その罰として失神するまで何時間も乳首だけを責められたのだ。
だから、もう言葉にはできない。散々苛まれた乳首は未だ赤く充血している。服に擦れるだけで、そこは痛みと……そして言葉にできない疼きを発しているのだ。
「悪い子だなぁ……聖は……」
「うっ!」
その乳首に思いっきり爪を立てられ、情けない身体は不自然に跳ねた。
「そんな格好で、外に行くつもりだったの?」
まともな服を着ることを許されていない俺はシャツ一枚を羽織っただけだった。
しかも腹立つことにこのシャツは男のものであり、さらに腹立たしいことにサイズが一回り以上も大きいのだ。
「……ぅ」
うるせぇよクズ野郎! この世から消えてなくなれ! ……そう罵りたい衝動を、唇を噛み締めて堪える。
「……昨日、ここを虐めたことを怒ってるの?」
「いたっ……!」
男の指が胸の突起を強く摘み、捻る。
けれど、その先端から感じるのは痛みだけじゃない。下半身に直結するような感覚が起きる。
「……可愛い反応……。一日中いじられて女の子みたいに感じるようになった?」
痛みから一転、指の腹で押しつぶされるように揉まれ涙が滲む。
「うあっ……くっ……、誰のせいで、こんなっ……」
「ハハ! 俺のせいだよね? 俺がやったんだよ? それをこんな格好で逃げようとして…………。知ってる? これね、少し屈むだけでも乳首が見えちゃうんだ。昨日までピンクの生娘のような乳首だったのに、こんなに真っ赤に色づいてる乳首が。いやらしい……」
「……っるせぇよ! 黙れ!!」
真っ赤になって睨みつけた直後、自分の失言に青ざめる。
「……昨日あんなにお仕置きしたのに、またずいぶん生意気だね……」
「…………」
男は無表情で、何を考えているのかわからない。
「乳首ばかり弄られて拗ねちゃったの? 結局昨日はイケなかったもんね。今度は空っぽになるまで搾り取ってあげようか……?」
「いやだ……」
男の手が、いやらしい手つきで俺の体を這う。
「それとも……撮った写真や動画、ネットにアップしてあげようか……?」
「や……」
やりかねない。この男ならやりかねないだろう。
「こんな格好で外に出ようなんて、露出の趣味があるんだろ?」
「やっ……やめ……」
「大丈夫。顔にはモザイク入れてあげるよ。流石に可愛い聖をただで大勢に見せるのは癪だからね」
「違っ……」
「見せたいんだろ?」
「せんぱっ……」
「俺を殴ってまで、外に出たかったんだろう?」
目が怖い。本当に晒される。
逃げようとしたと本当のことを言ったら、その罰は乳首責めなんて比じゃないはずだ。下手したら殺されるかもしれない。
「…………それとも、変態で淫乱の聖は、俺にお仕置きされたかったのかな?」
男から示された逃げ道の選択も地獄でしかない。
本気で逃げたい。逃げ出したい。
けれど、目の前にいる男に狂気を感じる。その恐怖がまともな思考回路を奪って行く。
「…………お、仕置き、されたいです……」
「うん……」
掠れた声で答えれば、男は笑った。破顔した。それはもう、嬉しそうに、狂ったように笑う。
「そうだよね。知ってる」
可愛い聖と、男は繰り返す。
あぁあ……やばい。本当、コイツ鼻息荒くて、キモくて、超怖い。
「今日は……どんなことしようかなぁ……」
強く抱きしめてくる男の荒い吐息が耳に当たる。嫌悪感で鳥肌が立つと同時に、男が流した血の臭いが仄かに香った。
「さて、まずはお腹の中を綺麗にしようと思うけど、どうする?」
いつもセックスの前には強制的にされることに、今日は初めて同意を求められた。
「……い、いやだっ……」
当然、拒否である。
「へぇ……嫌なんだ? 浣腸されて泣く聖は可愛いのに……」
「嫌だ……絶対に嫌だ!」
そんなこと、されないに越したことはない。
この男との生活は全てが地獄のようだったが、特に何度も繰り返される腸内洗浄は最も恥辱的な行為だった。
「ふぅーん……そう」
けれど、今日は男がそれを強要することはなかった。
いつもは、排出される洗浄液が透明になるまで繰り返されるのにだ。
「それじゃ、服を脱いで? これから、たくさんお仕置きしてあげるから」
ニヤリと笑った男の顔。それはまるで俺の答えを見越していたかのようで、嫌な予感がしてならなかった。
ギシギシと身体が軋む。
脚と腕を固定され、無様に尻を上げさせられたことで、無理な体勢に関節が痛む。入れられたままの異物は角度をかえ、後肛に強い刺激を感じる。その不自然な違和感から意識を逸らすように、男を睨みつけた。
「聖は体柔らかいよね。運動とか全然してないのに……。あ、昔体操やってたからそれでかなぁ。凄いねこの格好。この格好ならお尻も可愛いオチンチンも、聖の顔も全部見える」
「…………」
体操なんて、俺ですら忘れていた幼い頃の習い事だ。なんでそんなことをと疑問がよぎるのは一瞬だ。
不自然な体勢と視界の端に用意された淫具の存在に気づいて、唇を引き結ぶ。
異物一つでも辛いのに、また他にも使われるのかもしれないと思うと悲鳴をあげたくなる。
「ふふ……真っ赤になって可愛いよ。無抵抗で、全部丸見えで。これから何されるか考えると興奮するだろう?」
本格的なカメラで数枚、この無様な姿を撮られる。そのあとに響くスマホの連射音。
散々俺の裸の写真なんて撮っただろうに。一体何枚撮るのだろうか。
よくよく見れば今回も周りには数台のビデオカメラが用意されてる上、天井にあるカメラに向かって俺は股を開いていることになる。
「エネマグラは、そろそろ慣れてきた?」
「…………」
エネマグラ……俺の後肛に入れられた異物の名前だ。俺のケツを開発すると言って男が挿入したものだ。
「…………」
尻を撫でる男の手が気持ち悪い。男の尻を撫でて何が楽しいのかわからない。
「これは前立腺を刺激する医療器具で、入れてるだけで気持ちよくなるはずなんだけど……」
それで監禁され始めたその日から入れられているのか。最近馴染んでしまったせいか少し変な感じがする。
けれどそれを、わざわざ男に告げる必要なんてない。
「まだ慣れないかな?」
「ぅ……」
ゆっくりと、男が後肛に埋まるものを引き抜いてくる。
「あー……すごい匂い……」
「やっ、やめろ……」
「昨日も洗浄はしなかったからね……聖の濃い匂いがするよ……」
「嗅、ぐな……っっ!!」
変態だ変態だとは思っていたけれど、まさかここまでだとは思わなかった。
奴は俺の尻から異物を抜き去ると、肉襞を押し開き、あろうことかそこに舌を這わせてきたのだ。
「嘘だろっ……!? 舐めるなぁっ……!!」
必死に腰を攀じるが、男は縛られた体での抵抗などものともしない。
「嫌だ嫌だっ! 汚いっ!!」
「ふふ……大丈夫だよ。初めての時も舐めてあげただろ……?」
「ひぃっ……」
確かに、こいつに犯された時の動画には、俺の尻にむしゃぶりついている男の姿が記録されていた。でもあの時は酔いつぶれていて、俺自身にその記憶はなかった。
「嫌だっ……!!」
「たっぷり、舐めてあげる……。んー……美味しい」
「ひぃいっ!! やだやだきもっ」
クチャクチャと響く音。
「汚い! 汚いから!! 舐めるの、やめ……」
「……洗浄、嫌なんだろ?」
「…………うぅっ」
俺のケツから、尚も湿った音が響く。
「うぁぁ……」
耐えられない。気持ち悪い。舐められてる側の俺が吐きそうだ。
「…………ぅ、してくださ……」
「……ん? なぁに?」
「洗浄してください……!」
「……どうして?」
「お尻、舐めないで……」
差し込まれた舌が、グニグニと生き物のように蠢く。
「せめて中……、ぅ……綺麗にしてから……」
「……ふふ……はははは!」
泣いて頼んだはずなのに、男は急に笑い出す。
あー……狂ってる。この男、やっぱりおかしい。
「駄目だよ。やだって言ったり、してって言ったり。聖は我儘なんだから」
そんなところも可愛いんだけどね。と男は付け足してまた笑う。
「なんでもやだやだって言うけど、本当は嫌じゃないんだ? して欲しかったんだ? 聖は嘘つきだなぁ」
「……違っ」
「して欲しいんだろ? 洗浄。たっぷり浣腸されて、泣きながら出させてっておねだりして、お腹が空っぽになるまで出すのが好きなんだろ?」
「違うっ……!」
「じゃあ、しなくてもいいの?」
「そ……れは……」
結局、何を言ってももうダメだ。
男は終始、ずっと楽しそうに会話を楽しんでいる。
「ふふ。可愛い天邪鬼さん。期待に添えるようなお仕置きをしてあげるから……。僕に任せてね?」
そう言いながら、奴は俺の萎えたモノに触れる。
「もういやだ……何する気だよ……」
「ん……? 何して欲しいの?」
この男に対する正解の答えは何なのだろうか。
ゆるゆると扱かれ、さっきまで俺の尻を舐めていた赤い舌が、見せつけるようにベロリとそこを舐め上げてきた。
「ぅ……」
されるがままに口淫を受け入れながら、必死に考える。きっとあるはずだ。あまり被害を受けずにすむ答えが、きっと……。
「勃ってきた。期待してるのかな? でも、今日はこっちはお預けにしようか……」
答えを導き出せない俺をよそに、反応を示し始めた俺のモノは指で弾かれる。
「痛っ……」
「後ろだけで気持ちよくなるんだ」
嫌な笑い方。未知の恐怖。
「さぁ、洗浄なしで、グッチョグチョになるまでお尻を犯してあげるね」
男の笑顔と、男の言葉と、これから起こることへの恐怖で、勃ちかけていた俺のものはあっという間に萎んでいった。
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