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ひょこりと嵐の影から出てきた雛を見て、紫藤は少し驚いたように眉を上げた。
「あれ、雛も一緒なんだ」
「うん。朝はノートありがとう、わざわざごめんね」
「いいよ、あのくらい。坂井のノートは使えないもんね。というかノートとってるの?」
「うるせーよ」
爽やかな笑顔を浮かべながら、雛に気付かれないようにこちらに嫌味な視線を送って来る紫藤。それに頬が引き攣るが、反応するだけ無駄だ。
紫藤は大学内では爽やかなイケメンだなんだと騒がれているが、親しい者の前ではとことん嫌味な性格であることを知っている嵐はふんと鼻を鳴らし、世間話に花を咲かせる2人から視線を逸らした。
雛が自分以外の男と話しているのが気に入らない。
なんて、恋人でもないのにみっともない嫉妬。
なるべく2人を意識の外に締め出そうと窓の外を眺めていると、雛が「そうだ!」と声を上げた。
弾むようなその声に雛を見遣れば、嬉しそうに紫藤を見上げている、
「紫藤くんも今からお昼?」
その言葉に、嫌な予感が過った。
まさか、一緒に食べようなんて言わないよな?こいつと一緒とか絶対嫌だ。
紫藤は一瞬こちらを見てから、相変わらずの笑顔で頷く。
そして嵐の予想は当たってしまう。
「よかったら一緒に食べない?ね、らんちゃんいいよね?」
こちらを振り返ってきらきらの笑顔で小首を傾げながらそう言う雛。
自分でも雛のこの顔に弱いのを知っている。今まで雛のこのお強請りに勝てた試しがない。
「...雛がいいなら勝手にしろよ」
溜息混じりのその返事に、両手を合わせて喜ぶ雛。
お前は女子か。
2人のやり取りを可笑しそうに見ていた紫藤には、気付かないフリをした。
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