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「…なんて、大介さんに言っても仕方ないよね。僕がなんとかしなくちゃ」
思わず洩れそうになった弱音をぐっと飲み込み、笑顔を見せる雛。意識がないと分かっていても大介の前では笑っていたかった。
「僕、お花のお水換えてくるね...っ」
ぱたぱたと小走りで窓際の花瓶の水を換えに廊下へ出る。
ドアを閉めた途端に、ぐっと目頭が熱くなった。
泣いてばかりの自分に嫌気がさす。
もしも、僕が強くなったら大介さんは帰ってきてくれるのかな。
僕がいつまで経っても弱いままだから...
「...ってまた弱気になってる...」
雛がはぁ、と溜息を吐いたのと同時にズボンのポケットに入っているスマートフォンが震えた。
最近まともに友達付き合い等していない雛に、しかも昼間から連絡をしてくるような人は一人しかい。
さっき別れたばっかりなのに、どうしたんだろう。
『見舞い終わったら迎えに行くから。一人で歩くなよ』
開いた文章を見て、思わず苦笑する。
今日病院には一人でちゃんと来れたのに、心配性なんだから。
昨日衝撃的な告白をされたばかりだというのに、それでも気まずいなんて微塵も思わないことが不思議だった。
分かった、と嵐に返信をして花瓶の水を換え、病室へと戻った雛の顔はいつも通りに戻っていた。
その後1時間ほど大介に話しかけたり、ぼんやりと窓の外を眺めたりして過ごす雛。時刻はそろそろ午後1時を回る頃だ。流石に昨日からの疲れが溜まっており、今日はもう帰ろうかと雛は考えていた。
今日は早めに寝て、明日また手土産でも持ってお見舞いに来よう。
「あ、でも明子さんに挨拶していかなくちゃ」
ふと先程別れた明子を思い出して病室の入り口へと目をやる。先生とお話ししてくる、と出て行ってから随分時間が経っている。
「...何かあったのかな」
どんな話をしているのか、想像もつかない雛は首を傾げることしかできない。
まあ、どうせすることもないしここで待っていてもいいんだけどね。
そう考えた雛がベッドサイドのパイプ椅子に深く座り直すのと、病室のドアが開いたのはほぼ同時だった。
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