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2ー09
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そして暫く無言で俺の腕を引き、前を歩く只ならぬ雰囲気の透也さんに若干ビビりながらも、恐る恐る声を掛けてみた。
「…ぇーと、透也さん、どうしたんですか?」
「何がだ」
「…怒ってますよね?」
一瞬俺に視線だけ向けた透也さんは、ふいに立ち止まった。
「そう見えるのか」
「…まぁ、はい」
素直に答えれば透也さんは真顔で俺に振り向き、目を細める。
「別に怒ってはいない…が、そうだな。面白くは無かった」
「面白くない?」
透也さんの言葉の意味が分からず首を傾げると、思いっきり深い溜め息で返された。
「お前は、お前が思っている以上に周りの目を惹くんだ」
「何ですかそれ」
「分からないなら良い…それより圭、お前は絶叫系アトラクションが好きだったな」
問い詰める間もなく話を無理やり逸らされてしまった。
かと言って話を戻すのは何となく違う気がした俺は、そのまま透也さんの質問に答える事にした。
「そうですね」
「それなら、次はコレに入るぞ」
そう言われて透也さんの視線の先を辿れば…おどろおどろしい和風の建物が視界いっぱいに広がる。
中から時折、今までの和やかさとは違う悲鳴が外まで聞こえてきて、それがお化け屋敷と分かった途端に背筋に悪寒が走った。
固い唾を飲み込んだ俺がぎこちなく方向転換すると、透也さんに肩を掴まれる。
そしてゆっくり振り返れば…怪しい笑みを浮かべるその人に別の恐怖を感じてしまった。
「どこに行くつもりだ?」
「ち…ちょちょっとトイレにでも行こうかと思いまして」
「言っておくが、直ぐバレる嘘を付いても損しかしないぞ」
あっさりと逃げ道を塞がれ、観念した俺は正直に抵抗する。
「俺…お化けとかそういうの、マジで駄目なんです!ホント無理なんです他のにしましょうよ…!」
「やはりそうか。だがコレも絶叫系には違いないだろう?」
「そりゃそうですけど絶叫違いです勘弁して下さい!!」
何とか引き止めたくて必死に抵抗するも、無情にも俺の訴えは次の言葉で完全に拒否権が無い事を悟らされてしまった。
「…では聞くが、さっきまで俺を彼方此方に連れ回したのはどこのどいつだろうな?」
そして数分後。
正直に言っても結局損しか無かった俺は、身の毛もよだつお化け屋敷の多彩な仕掛けに叫び声を上げまくった事は言うまでもない。
02.end
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