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その執事、主人
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「坊っちゃん!起きてください!」
「ん・・・?まだ夜じゃないか・・・起こすな。寝る。」
「何言ってるんです!それどころじゃありませんよっ」
セバスチャンの声色が妙に焦った感じなので、シエルは仕方なく目を開けた。
(ん?)
目を開けて最初に映ったのはなぜか自分の顔。
意味がわからないので、もう一度目をつぶってゆっくり開けてみた。
映ったのはやっぱり自分の顔。
(んん?)
ごしごしと目をこすってもう一度確認するも、映るのは自分。
「・・・・・えええぇぇえ!?!?」
やっと事態を把握したシエル。
隣に横たわっているのは絶対に自分だ。
(じゃあ・・・)
「僕は誰だっ!?」
「坊っちゃん、落ち着いてください!」
隣に横たわっている“僕”に言われて、ますます混乱した。
「坊っちゃん、私ですよ!セバスチャンです。」
「セバスチャン・・・?なんのつもりで僕の格好なんかしてるんだ。コスプレのつもりか?」
「コスプレで身長まで縮めたりしませんよ・・・。だいたい、私は坊っちゃんを眺めたり、触れたり、食べたりするのが好きなのです。別に坊っちゃんになりたいわけじゃありませんから。」
「“食べたり”ってなんだ!?食べられたことはないぞ!コスプレじゃないならなんなんだ?」
「坊っちゃん、ご自分の身体をよくご覧になってください。」
「僕の・・・?セ、セセ、セバスチャンになってる!?お前、僕にまでコスプレを強要するな!!」
「坊っちゃん、コスプレから一度離れてください・・・。私と坊っちゃんの身体が入れ替わったんですよ。」
「そんな・・・っ、あり得ない!!なんでこんなことに・・・?」
「原因はたぶんアレでしょうね・・・。」
「なんだ?わかるのかっ?」
「ええ。昨日の夜、貴方を着替えさせて寝かせた後、私は執務に戻りました。
明日の朝食の仕込みを済ませ、帳簿を書き・・・自室に戻ろうかと思いましたが、貴方の寝顔をもう一度見ようとこちらに伺いました。
ですが・・・貴方の可愛らしいお顔を見てしまったら、どうにも触れたくなってしまって・・・キスをしようとしたのです。」
「眠っている僕にキスしようとするなんて・・・寝込みを襲っているようなもんじゃないか。お前、本当に変態だな。」
「こんなの寝込みを襲ったうちに入りませんよ。いつもはもっと色々してますから。そんなことより・・・」
「ちょっ・・・ちょっと待て!“もっと色々”って何!?お前、僕が眠っているのをいいことに何してくれてるんだっ」
「そんなこと言えませんv それより話を進めますよ。・・・とにかく、私は貴方にキスをしようとベッドに入り、顔を近づけました。そしたら貴方、どうしたと思います?
・・・おもいっきり身体を引いたと思ったら、ものすごい勢いで頭突きしてきたんですよ!」
あれは私でも痛かった・・・と遠くを見るセバスチャン。
「さすが僕だな。無意識に自己防衛を身につけたんだな。」
「坊っちゃんは頭痛くなかったのかと本気で心配になるぐらいの威力でしたよ。」
セバスチャンはどんだけ石頭なんですか・・・とかブツブツ言っている。
「とにかく、その頭突きが原因だと言いたいわけだな。」
「そういうことです。」
「それなら、もう一度すれば治るんじゃないか?」
シエルが身体をおもいっきり引いたので、セバスチャンが慌てて止めた。
「ちょっと待ってください!今、貴方の身体は“セバスチャン”なのですよ?そのまま頭突きしたら坊っちゃんの身体に傷がついてしまいます!人間の身体は脆いですからね、脳とか色々危険です。」
「じゃあどうするんだ?」
「“坊っちゃんの身体の私”が“私の身体の坊っちゃん”に頭突きします。」
「ややこしいな・・・それだと僕が痛いじゃないか!」
嫌だ!と怒るシエル。
「どうせ戻るんですから一瞬じゃありませんか。元に戻ったらたくさんご褒美を差し上げますからv」
「ご褒美?おやつか!?」
目を輝かせるシエル。
「なぜご褒美=おやつなんです?おやつより甘いものをv」
「おやつより甘い・・・よし、早くやれ!」
「イエス、マイロード。」
では、とセバスチャンは頭を引き、シエルは覚悟してギュッと目をつぶった。
ゴチッ!
「「~~~~~っっ」」
あまりの痛さに2人が声もなく悶えていると
「「!?」」
突然グルグル視界が回り始めた。
「う・・・キモチワルイ・・・」
シエルは堪えられなくなって目をつぶった。
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