アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
その主人、子供
-
こどもの日に書いたお話です。
「坊っちゃん、今日は坊っちゃんのお祝いの日ですよv」
朝食をとるシエルに、唐突にセバスチャンが告げた。
「なんの・・・?誕生日はまだまだ先だろう?祝われる理由が思い浮かばないんだが・・・。」
「今日が何の日かご存知ないのですか?」
セバスチャンがニヤニヤしながら聞いてきた。
こういう時はたいていシエルにとってよくない情報だ。
「こどもの日ですよ。こ・ど・も・の・日!」
むかちーん
「貴様・・・馬鹿にしてるのか?ニヤニヤするなっ!」
「とんでもございませんv今日は日頃の大人びた坊っちゃんを捨て、子供返りしていただこうと思いましてv」
「お祝いなんていらないからな!」
あー、腹立たしい!とプリプリ怒るシエルにセバスチャンが妖しく笑った。
「本当によろしいのですか?私からも甘~いプレゼントを用意致しましたのに・・・。」
(あ、甘~い?・・・どっちだ?//)
セバスチャンが言う“甘い”はスイーツなのか?それとも・・・。
顔をほんのり紅く染めたシエルの心を読みとったかのように、セバスチャンが言った。
「私が腕によりをかけて作りました。坊っちゃんのお気に召すといいんですけれど・・・。おや、坊っちゃん。お顔が真っ赤ですよ?何を想像したのです?」
(なんだ、スイーツの方か・・・)
少し期待してしまった自分が恥ずかしい。
「・・・それとも、もっと甘~いプレゼントをご所望ですか?」
耳元で低く囁かれた。
「っ!だから・・っ///」
「クス・・・本当にお耳が弱いですねv」
「//・・・お前はどうなんだ・・・・。」
「なにがです?」
カプッ!
「っ!?」
突然シエルがセバスチャンの耳を甘噛したのだ。
「ほんなひふんら?」
「っ!そ、そのまま喋るのはなしですよっ・・・」
はむはむ
チュッ
「・・・っ、シエル、それ以上はダメですよ・・・。」
セバスチャンはシエルを優しく引き離した。
「今すぐ、貴方を食べてしまいたくなるでしょう?」
「それは契約違反だろ?」
「いいえ、契約に違反しない食べ方があるのですv」
「どうやるんだ?」
「食べるの意味合いが少し違うのですよ。貴方にもそのうち嫌というほど教えて差し上げますよ・・・身体にねv」
「・・・お前が言うと、なんでもいやらしく聞こえるな・・。」
「今回はあながち坊っちゃんの勘も間違ってはいませんね。」
「・・・・・。で?どうやって祝うんだ?」
「はい、こいのぼりを飾って柏餅を召し上がって頂こうかと。」
初めて聞く単語にシエルはきょとんとした。
「こいのぼり?かしわもち?・・・聞いたことないな。」
「日本のものですからね。説明するより実際に見て頂いたほうが早いですかね。」
3時になって、セバスチャンに促されてシエルは庭に出た。
「屋根の上を見ていてくださいね。」
セバスチャンがパチンと指を鳴らすと、突然屋根の上に大きなこいのぼりが現れた。
「ちょっ・・・何考えてるんだ!こんなところ、誰かに見られたら・・・っ」
「大丈夫ですよ、使用人たちには大量の柏餅を渡しました。今頃は皆さんで食べているところでしょうから。」
「・・・。あんまりそういうことはするなって言っただろう?誰かに見られたらってだけじゃない。・・僕とお前の距離がなんか遠く感じて・・・寂しくなるんだ。」
「坊っちゃん・・・。」
言ってしまってから、シエルはハッと我に返った。
「な、なんでもないっ!忘れろ・・・っ///」
「坊っちゃん、貴方本当に・・・かわいすぎますv・・・わかりました。これからはできるだけ控えましょうね。」
「・・・ああ///・・・これがこいのぼりか。」
大きな黒いこいのぼりと少し小さめの青いこいのぼり。
「黒いほうが私。青いほうが坊っちゃんこいのぼりですよ。」
言われてみると、そんな風にも見えてくる。
仲が良さそうに気持ち良さそうにはためいている。
まるで空を泳いでいるかのようだ。
こいのぼりが可愛らしく見えてきた。
「こいのぼり・・・欲しい。・・・・・・黒いやつ・・///」
「欲しいって・・・あれ、近くで見ると結構大きいんですよ?それに、私のこいのぼりを欲しがらなくても、本物がいつもお側にいるでしょう?」
セバスチャンがクスクス笑っている。
「では、そろそろおやつに致しましょうか。柏餅というのは、お餅の中にあんこが入ったものを柏の葉でくるんであるものです。」
どうぞ、とセバスチャンに渡された柏餅を食べてみる。
「・・・うまい。すごい柏の葉の香りがする。前に食べたお団子より少し柔らかいな。」
「お気に召されたようで、よかったです。」
こいのぼりを見ながら柏餅を食べるシエルは、年相応のようでとてもかわいい。
「それから・・・今日は坊っちゃんのお祝いの日ですからね。1つだけ、なんでもわがままを聞いてあげましょう。」
「・・・なんでも・・?」
「ええ、なんでも結構ですよ。夕食は何が食べたいとか、薔薇風呂に入りたいとか・・・」
シエルは首を横に振った。
「そんなのどうでもいい。・・・笑うなよ?///」
シエルの顔が紅い。
そんなに恥ずかしいことなんだろうか。
「笑いませんよ。もう何にするか決めたんですか?」
シエルはコクン、とうなずいて、セバスチャンの耳元に口を寄せた。
「・・・いっしょに寝たい・・・///」
耳まで真っ赤にして、セバスチャンの応えを待つシエル。
「それは・・・何もしないでいられる自信がないのですが・・。」
無防備に眠る貴方の隣で添い寝など、生殺しですか、と苦笑するセバスチャン。
「・・・別に、何もするなとは言っていないだろう・・////」
(私と貴方が考える“何か”が違うことを知らないから、そんなことが言えるんですよ・・・)
「しょうがない方ですね・・・。では、今日は早めに仕事を終わらせてしまいましょう。」
シエルはうきうきしながら、セバスチャンは一晩中我慢を強いられることを覚悟しながら、夜までの時間を過ごすのだった。
.
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
13 / 21