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その主人、祝福
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坊誕小説です(。-∀-)
「坊っちゃん、おはようございます。」
セバスチャンの声で目覚めるいつも通りの朝。
「あぁ、もう朝か・・・。」
正直、昨夜はあまり寝つきがよくなかった。
昨夜だけではない。
あれ以来、毎年この日が近くなると眠りが浅くなる。
夢を見るのだ。
あの日、すなわち、10歳の誕生日を。
燃えさかる屋敷、
真っ赤な血にまみれて床に“転がる”両親と愛犬。
助けを求めてじいやに伸ばした手は、届くことはなかった。
遠退く意識 ━━━━━━━━━ 。
「坊っちゃん、今朝はカモミールティーですよ。」
セバスチャンの声にハッと我に返る。
温かく良い香りがするそれを受け取って
朝からハーブティーなんて珍しいな、と言おうとして気付く。
この執事はわかっているのだ、と。
甘い。
自分にものすごく甘い。
全てを失ったあの日を境に、誰にも甘えずにここまで戻ってきたつもりだった。
10歳にして甘えを捨てたつもりだった。
自分を甘やかす者も、自分が甘えられる者も、もういない。
そう思っていた。
しかし、実際はそんなことなかったようだ。
悪魔のくせに人間の僕に愛してると言うこいつは、ベタベタに甘やかしてくる。
・・・それで普通にしているつもりなんだろうか。
そんなに気遣うような、心配そうな目で見られたら、気付くぞ、普通。
「・・・大丈夫だ。」
奴に何か言われる前に、そう言った。
「まだ、何も申し上げていませんが・・・。」
セバスチャンが少し驚いたような、困ったような顔で言うので、おかしくなってきた。
「お前、顔に出てるぞ。言わなくてもわかるほどにな。」
「ハァ。どうも坊っちゃんのこととなると不器用になってしまうようですね、私。」
苦笑しながら僕の手からティーカップを受け取り、
「本当は昨晩、あなたの部屋に来て朝まで寝かせないつもりでしたのに・・・。イレギュラーな仕事が入ってしまって、来れませんでした。すいません。」
とんでもないことをさらりと言った上に、
寂しかったですか?などと軽口を叩いてくる。
多少のイラつきと羞恥で真っ赤になりながら、
「翌日の予定に支障をきたすだろう!何する気だったんだ!へ、変態っ///」
と言うシエルに、
「お誕生日おめでとうございます、シエル。」
と、セバスチャン。突然すぎる。
「・・・?あ、あぁ。」
「これを誰よりも先に、最初に言いたかったんですよ。あなたが誕生日を迎える瞬間に言いたかった。だから朝まで起きていてもらおうと思っただけですが・・・何を期待されたのですか?」
クスッと笑い、軽く口づけられた。頬に。
こいつが僕の反応を見て楽しんでいるのなんて、分かってる。
分かってるのに・・・
「っ・・・///」
顔が熱くなるのを止められない。
もっとしてほしいと思ってしまう。
「そんな顔なさらないでください。我慢できなくなるでしょう?」
「我慢なんてしなくていい。」
何を言ってるんだ、僕は。
「坊っちゃん・・・?」
驚いてまじまじと見てくるセバスチャン。
今さら恥ずかしくなって俯いていると、
「・・・ハァ、坊っちゃんのせいですからね?」
ギュッと抱きしめられた。
僕もセバスチャンの背に手を伸ばした。
「随分、素直なんですね、今日は。」
「た、誕生日だからだ///」
「はいはい。」
僕を抱きしめたままのセバスチャンの顔がどんどん近づいてくる。
あと10センチ・・・
5センチ・・・・
3センチ・・・・・・。
僕は目を閉じた。
・・・・・・・・・。
(?)
いつまで経っても訪れるはずの感触が来ない。
不思議に思い、目を開けてみると・・・
セバスチャンの吐息がかかるような至近距離で、僕を見ていた。
「坊っちゃんのキス待ち顔、最強にかわいいです。」
「?!?!」
(見られてたのかっ・・・?////)
恥ずかしくてセバスチャンの顔が見られない。
「もう・・・焦らすな・・・・っ///」
チュッ。
シエルは自分からキスをした。
セバスチャンは驚いていたようだが、すぐに受け入れ、シエルの拙いキスに応じた。
口づけがだんだん深くなり、次第に何も考えられなくなる。
セバスチャンの唇が、耳へ ━━━ 。
耳に舌を入れられ、ダイレクトに水音が響く。
「・・・やっ・・それ、んっ////」
恥ずかしくて身をよじると、そのまま首筋に降りてきた。
「ん・・・っ、セバスチャ・・・・・///」
ガッチャーーーーーーーン!!!
「「?!」」
・・・。
「メイリン、ですね・・・。」
「・・・またか・・。」
「本当に糞の役にも立たない使用人ですね。」
笑ってはいるが、その目は笑っていない。
「しょうがない、行ってやれ。」
「ですが・・・よろしいのですか?」
シエル自身も残念に思っていたが、このままでは二次災害が起きかねない。
行かせるしかないだろう。
「では、先に行って朝食の準備をして、お待ちしております。」
「ああ。少ししたら行く。」
「では、失礼致します。」
部屋を出ようと扉に手をかけたセバスチャンが振り向いた。
「そうそう、坊っちゃん。続きは夜に・・・ね・・・?」
「なっ・・・////」
最後の最後に爆弾を投下されたシエルは、その日1日、仕事にならなかったとか。
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