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その主人、駒鳥2
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人気のない部屋にロスチャイルドが入って行った。
迷わず僕もその部屋に入る。
「ロスチャイルド男爵、お初にお目にかかりますわ。」
「やっぱり来てくれたんだね?」
「やっぱり・・・?」
「あぁ。初めてじゃないんだよ、僕たちが会うのは。以前にも1度会ってる。」
(こいつと会ったことがある・・・?)
全く記憶になかったが、会ったことがあるとしたらあの時しかない。
“この姿”にはあれ以来なっていなかったのだから。
「・・・ドルイット子爵がいらした夜会の時、ですわね?」
「ご名答。ついでに言わせてもらうと、君が何者なのかも知っているんだ。・・・いや、君なんて呼び方は失礼かな?私より爵位が高いんだから。・・・ねぇ?ファントムハイヴ伯爵?」
(・・・!?)
想定外だった。
なぜ正体がバレているのか。
シエルの困惑を読みとったのか、ロスチャイルド男爵は饒舌に語りだした。
「不思議そうな顔してるね。あの夜会で、私は君を見かけたんだ。その瞬間にこの子だ!やっと私の理想の子を見つけたと思ったよ。かわいらしい顔立ちの奥に潜むダークなオーラ。私の手で愛でて、その強気な瞳を従順に変えてみたい・・・。まるで磨けば光る、ダイヤの原石のようだと思った。」
「あの夜会で、君はいつの間にかいなくなってしまっただろう?私は必死に君を探したよ。君を手にいれたい一心で。探して探して、ようやく君の正体がわかった。悪の貴族と呼ばれる、女王の番犬だということもね・・・。愕然としたよ、まさか男の子だったなんて。普通に君に会いに行ったんじゃ、“あの子”には会えない。それで・・・。」
「それで・・・わざと少女たちを誘拐し、“この僕”を誘き寄せたのか・・・。」
「そういうことだ。」
「なら、話は早い。なぜ僕がここに来ているのか、貴様が一番よくわかっているんだろうからな!」
僕は銃を構え・・・ようとした。
だが、わずかにロスチャイルドの方が早く、僕を壁に押しつけた。
「貴様・・・っ!!」
「助けは来ないよ。君の執事は今頃、僕の友人の相手をしているだろうからね。」
「友人・・・だと・・?」
「さっき君にちょっかいを出してきた者がいただろう?あの男には闇オークションで少女たちを売りさばいた金をそっくりそのままやっているんだ。私は君さえいれば、金なんかいらないからね・・・。その代わり、協力するという契約さ。そしてあの開場には他にも仲間がたくさんいる。執事は来れないよ。」
(あのタイミングも偶然じゃなかった・・・共犯か・・・)
「やっと二人きりになれたんだ。たっぷり可愛がってやるよ、シエル・・・。」
男の顔が口に触れた。
「つっ・・・!」
(キスをしたんじゃない。触れただけだ・・・。)
キモチワルイ。
そのまま首筋に沿って唇が降りてくる。
キモチワルイ。
そのままドレスを脱がされた。
鎖骨を吸われた・・・。
キモチワルイ・・・。
セバスチャンにされたのと同じ行為でも、気持ち悪さしか感じない。
セバスチャンにされると、何も考えられなくなって、溶けそうになるのに・・・。
右目の眼帯を外された。
「ロスチャイルド・・・。お前は僕についても、僕の家についてもよく調べたようだが、ひとつ、重大な調べ漏れをしているようだ。」
「何だと・・・?」
「僕の執事であるセバスチャンが人間ではないということをな・・・!来い、セバスチャン!!」
その瞬間。
ドカッ
バキバキバキッ
「ぐあああぁぁああ!!!!!」
ロスチャイルドが派手に吹っ飛び、気絶した。
シエルはセバスチャンにそっと、抱きしめられた。
「坊っちゃん、呼ぶのが遅いです・・・っ!」
「仕方ないだろ、両手掴まれてて眼帯外せなかったんだから。」
「坊っちゃんに『呼ぶまで来るな』って命令されてたから、来れなかったんですからねっ!!」
「はいはい、悪かったな・・・。」
「坊っちゃん、何もされてな・・・いわけないですね。」
「・・・何もされてない。大丈夫だ・・・。」
「嘘おっしゃい。・・・こんなに震えて。」
(震えている?・・・僕が?)
「怖い目に合われたんでしょう?申し訳ありませんでした。・・・貴方を護れなかった・・・。」
「いい、お前のせいじゃないだろう?・・・なんでお前が泣きそうな顔してるんだ?それに・・・」
(セバスチャンの腕の中にいるだけで、こんなにも安心するなんて・・・。)
「セバスチャン、さっきお前が飲み物をひっかけた男も共犯だったらしい。まとめて縛り上げてくれ。後は警察に任せよう。」
「よろしいのですか?私個人の意見と致しましては、こいつら全員、皆殺しにしてやりたいくらいなのですが。」
「いいんだ。言っただろう?警察の顔を立ててやるのも僕の仕事だ。それに・・・」
セバスチャンの顔をぐいっと引き寄せて、耳元で囁いた。
「早くお前と、二人きりになりたい////」
「っ・・・!!イエス、マイレディ。」
顔を赤くして言うシエル。
とても魅力的な提案だった。
「ですが坊っちゃん、私以外の男に触られた罰は、しっかり受けて頂きますからね?・・・お仕置きですよ・・?」
「・・・!!////」
妖しく、艶っぽくそう言うセバスチャンに、何をされるのだろうかとちょっぴり期待してしまうシエルなのでした。
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