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「おーい黒子ー!」
「お久しぶりですね火神君」
「だな!」
病院での用を済ませタクシーで出向いた先はとある保育園だった。
日もおち夕方になり門の前では幼児を迎えに保護者が子供の手を引きちらほらと連れて帰っている。
ーー緑間が医者で黒子が保育士。
「じゃあ火神君もう少し待っていて下さいね」
「おう!そんな急がなくていいぜ!」
日本に戻って来てから顔を合わすのが今日が初めてである。
急がなくて良いと声をかけたのにものの数分で用意を済ませた黒子は「お待たせしました」と相変わらず仏頂面でやってきた。
「‥‥へぇ緑間君に会ったんですか」
「そうそう、やっぱ黒子も緑間も姿形はそんな変わってねーな安心したわ」
「そんな数年で変貌しませんよ」
「ははっそうだよな」
俺の足の所為もありタクシー移動になるも黒子は何も言わずまるで高校時代と変わらない時の様な接し方である。
高校時代の時は部活とマジバ以外で二人で出かけることなんてなかったからか久しぶりに会ったからかなんだか緊張感を黒子に持ってしまう。
すると相変わらずの人間観察は鋭く
「肩に力入ってますよ」
「‥え、ああなんか緊張しちまってさ」
力なく笑ってしまえば黒子も一緒になって笑っていた。
『◯◯◯◯円になりまーす』
会話も弾んでいればもう目的地についたのかタクシーの運転手が会計を求める。
会計を済ませ自動ドアが開き立ち上がろうとすればまた膝に痛みが走るーーも病院でもらった痛み止めが少しは聞いているのかさっきみたいにふらつく事はなかった。
ーーやはりこんな時にでも人間観察ってのは鋭いのか黒子が俺の足の怪我を心配するもんだから苦笑いを浮かべ「平気平気」と言葉で押しきった。
「火神っちー‼︎」
「かがみーん‼︎」
目的地は懐かしのマジバーガーである。
中で先に待っていたのは黄瀬と今の黒子の彼女でもある桃井だった。
桃井に名前を呼ばれ一瞬胸がドキリと音をたてたのは少し前まで一緒にいた人物ーー‥青峰の顔が頭を過ったからである。
桃井さつきは青峰の幼馴染でもありアメリカに居た時も黒子と一緒に何度もアメリカに出向いてくれていた。
なんだかまた別の緊張感が背中を走る。
そんな俺に桃井は「大ちゃんには内緒なんでしょ?」とウィンクをして見せた。
その隣で黄瀬も「俺も口堅いから大丈夫っスよ」と同じ様にウィンクしていた。
すると懐かしい場所で懐かしい会話がどんどん膨れあがっていく。
「ーーーいやーだからあん時はアレっスよ!若気のーー」「そんなの通用しませんよ黄瀬君」「そうだよねテツ君!」
なんだか本当に懐かしく思えて変な緊張感もすっかりなくなっていた。
そんな時テーブル上の桃井の携帯がブーブーブーと着信音を鳴らした。
携帯画面が桃井以外の視界にもばっちり入る。
着信の人物はーーー
「青峰っち流石に気付いちゃったんじゃないスかねー」
「‥ああ、そうかもな」
携帯画面の 青峰大輝 という字を見ただけだというのにズクリとなんだか胸が痛んだ。
ーーすると桃井が携帯画面の上のボタンを押し電話に出ることなく着信音を止めた。
え、と火神が驚いていると今度は黒子の携帯が着信音を鳴らす。
当然着信の相手は青峰である。
「‥‥‥なんか青峰っち必死スね」
「そりゃあ火神君が居なくなったんだから必死になってもらわないと困ります」
「オイオイ‥黒子」
黒子は桃井見たいに着信音を止めることはなかったが数秒もすればピタリと音が止まった。
するとまるで四人が一緒に居てるのを把握しているかの様に今度は黄瀬の携帯がジャラジャラと煩い着信音が鳴り始めた。
「うわー相変わらず変な音のセンスしてますね黄瀬君」
「黒子っちが俺をディするのにはもう慣れっこだよ!」
俺は電話に出るからねーと携帯の電話マークのボタンを押した瞬間スピーカーにしていたのか青峰の怒鳴り声がすぐさま聞こえてきた。
その場に居た全員は皆一瞬驚くも口の悪さは以前と何も変わらない。
「てめぇら!どうせ一緒に居てんだろが早く出ろ!くそデルモ‼︎」
「く、糞って青峰っちまで酷くないっすか!さっき黒子っちにもディすられ‥え、」
「ほら見ろそこにテツも居てんじゃねーか」
黄瀬と青峰の会話を聞いていた黒子がこれ以上黄瀬に喋らせたらうっかり口を滑らせそうとでも思ったのか黄瀬から携帯を取り上げた。
「お久しぶりですね青峰君」
それは俺に言った時と変わらない対応だった。
「久しぶりじゃねーよ!おいそっちに火神来てねぇーか?」
どうやら青峰は俺が何処に居るかは把握していなかった様だ。
その言葉になんだかホッと胸を撫で下ろした時だったその手がテーブルの上の桃井の携帯に当たり運悪く火神の膝の上に落ちてしまった。
「痛ーーーッ‼︎」
「きゃー‼︎かがみん大丈夫‼︎‼︎?」
「火神っち!いけるっスか、膝!薬効いてないんスか!」
「‥‥‥‥‥‥‥ブツリ」
火神が小さな悲鳴をあげるものだから桃井も黄瀬も咄嗟に『火神』と分かる名前を口にして慌てる。
すると青峰と電話が繋がっていた筈なのに突然電話が途絶えスピーカー音ではツーツーツーと音をたてていた。
「バレちゃいましたね」
その場の全員が苦笑いするしかなかった。
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