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⑦
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なんだか気まずくなってしまった緑間に「また後で連絡する」からと言葉を残し、黒子は濡らしてしまったフローリングの処理をしてから帰るというので二人に挨拶して青峰と緑間のマンションの部屋から出た。
ザッザッと砂の上を歩く二人分の足音が夜の寒空の下で音を鳴らしていた。
マンションから出て何処に行く訳でもなく二人で歩くも「へっくしょん」と大きなくしゃみが青峰から聞こえてきた。
‥‥忘れていた。
バスタオルを頭から被ったままだが一様全身濡れているというのにこんな寒空の下を歩かせるなんて、そう思った俺はすぐさま目についたラブホテルにへと足を踏み入れた。
「‥今、湯沸かしてっからその濡れた服脱げよ」
「あー‥悪ぃなそーするわ」
ピッピッピとホテルの室内で慣れないクーラーのリモコンで暖房の温度を上げようとするも上手く使えないでいれば横から近寄ってきた青峰にリモコンを取り上げられる。
「こうすんだよ」
「へー詳しいんだな青峰って」
「これくらい普通だ普通」
室内温度を27℃に設定する。
これくらいで良いだろうと言った青峰が「これはこう使うんだよ」と手際良く説明してくれた。
そんなやりとりをしている最中、さっきまであんなに緊張していたのに普通に接している自分自身に驚いていた。
青峰はあれから何も聞いてこようとはしないというよりタイミングを見計らっているのかもしれない。
そう思っていたからかなのかタイミングがついたのか青峰が口を開いた。
「なぁ火神」
「‥なんだ?」
「膝そんなやべぇーの?」
「‥‥‥それは‥わかんねーけど医者には今はやめた方が良いって言われた」
「ふーん‥‥じゃあ引退することはなかったんじゃねーのか?」
「それは‥‥‥青峰、俺はバスケは好きだ。だけど当たり前なことだけどさプロ選手であり続けなくたってできるじゃねーか!俺はそれで充分だと思ったんだ」
上手く言葉を口にできたかどうかは分からないが『大丈夫』という言葉を思い出しゆっくり言葉を述べていく。
青峰はそれを聞き逃すことなく真剣に聞いてくれる。
「じゃあさ、俺の前から居なくなった理由はなんだよ?」
「そ、それは‥‥」
「俺が嫌になったのか?」
「違う!そうじゃねぇ!」
「じゃあなんだよ?」
なんだと聞かれれば言葉は思い浮かぶがさっき自覚したばかりの気持ちを伝えることなんてできやしない。
それに自覚した処で叶いもしない恋慕なのに余計口になんてできない。
それ以前にもしそんなことを口にして嫌われてしまったら余計にどうしたら良いか分からなくなってしまうだろう。
「言えよ火神」
なんだかその口振りが青峰が確信犯に思えて仕方ない。
もし本当に口にして「男なんて無理に決まってんだろ」なんて言われたら立ち直れないかもしれない。
いつまで経っても口を開かない俺に青峰が痺れを切らしたのかラブホテル特有の甘い色のシーツのベットの上にガバッと押し倒された。
「なっ、何すんだ」
羞恥で耳まで真っ赤に染め抵抗する俺の腕を青峰はあっけなく捉えた。
「‥火神‥‥」
ぶつかる視線の先の青峰の青い瞳がなんだか揺るんでいる様にも見え思わず目が離せなくなってしまう。
「火神」
名前を何度となく呼ばれればそれに応える様に俺も「青峰」と口にすれば青峰の唇が俺の唇を半ば強引に塞いだ。
「んーー!?」
急なことに上に覆いかぶさっている青峰の胸をどんどんと叩くもびくともせずいつの間にか舌まで絡み取られされるがままになってしまった。
互いの唾が口から溢れ顎を伝う。
‥ーー漸く口が離れたと思えば「お前が好きだ」と告白された。
その瞬間ぼっとさっきよりも自分の顔が真っ赤になってしまった。
誰かにこんな面と向かって告白されたのは初めてだったからなのか自分だけが好きだという訳じゃなかったからか羞恥も通りこして青峰をきつく抱きしめてみた。
「‥火神?」
「俺も‥‥‥お前が好きだ」
「やっと言いやがったな~バ火神!」
「うっせぇ!」
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