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「ねーっ大ちゃんっ急に呼び出してどこ行くのよっ」
「うっせぇ!良いからついてこいっ!」
「もーっ本当勝手なんだからっ!」
勢いでテツから聞いた駅前の映画館にやってきたものの、我に返ればこんな所一人で入りづらく幼馴染でもあるさつきについてきてもらうことにした。
映画館に着けば「映画?大ちゃん珍しい」なんて甲高い声を出すから連れてきたくはなかったが今はそんな事言っている場合じゃない。
早くあの二人を見つけなければ黄瀬が火神に何をしでかすか分からない。
さつきを強引に引っ張り映画館の中に入ればずらりと人が列を作っていた。
そんな後ろに続くように並べば、そういえばとさつきが口を開いた。
「てかさー何観るのー?」
「……」
「ん?大ちゃん?」
そういえば、テツに場所までは聞いたが映画の内容までは聞いていなかった。
と、いうより聞いたところでテツもそんなことまで把握していなかっただろう。
さつきの言葉に押し黙っていれば、列の真ん中辺りでなんだか見たことのある人物が視界に入った。
「あれはー…」
「ん?なになにー?……ん?あそこに並んでるのってきーちゃんかなー?」
「…だよな」
さつきも気が付いたのか、列からはみ出し声をかけにいこうとしているもんだから思わず止めるも、その瞬間良いことを思いついたので「俺と来てるのは内緒で黄瀬に何観るか聞いてきてくんねーか?」と耳打ちした。
すると、何故内緒なのかという事に当然疑問を抱いていたさつきだったが俺が強引に押し切ればしぶしぶ、言った通りに黄瀬が居る場所に行った。
それから数分経ち戻ってくるのが遅いなーとぼんやりしながら思っていれば後ろの方から自分を呼ぶ声が聞こえてきた。
「おい、お前青峰か?」
「は?誰………って火神!」
「よぉ、お前がこんな所に居るって珍しいなぁ」
「かはっそれはお互い様だろうがよ」
「ははっそれもそうか」
まさか俺が見つけるより先に火神が先に俺を見つけるなんて思っていなかったから驚いた。
ーーそれから白々しく「誰と来たんだよ」と問いかけてみれば丁度こちらに戻ってきた桃井とチケットを片手に持った黄瀬が現れた。
「やぁ青峰っちじゃないスかー!偶然スねー!」
「…ていうことだよ青峰、今日は黄瀬に誘われてここ来たんだ」
「へぇー…」
それにしても黄瀬の「偶然スねー」って言葉に棘を感じる。
なんだか黄瀬と火神が二人きりというのはやっぱり許せない気がしてきた。
別にこの二人がどういう関係であったって俺には関係ないとほんのすこし前ならそう思えていたんだろうけど今、この二人を目の前にしたらどうしてもそう思いたくない。
ーーで、結局映画はしれっと黄瀬達に合わせた。
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