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逃亡(龍之介side)
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部屋を訪ねたが反応がなく、生徒会役員専用のマスターキーを使って中を調べたものの、士郎の姿はなかった。
真面目に授業に出ているのかと思いきや、教室にもいない。
克己の側かと思えば、
「シロちゃん? 知らないよ。せっかく達っちゃんといるのに邪魔しないでくれる?」
あっちへ行けと冷たく追いやられた。
食堂や道場など、思いつく限りの場所を回った辺りで、疑問は確信に変わる。
「……アイツ、逃げやがったな」
克己のガードを外れ、学園を去る可能性があると聞いて以来、外出には自分の許可が必要なように手を回していたから、幸い学園の外に出た可能性だけは除外できた。
会うのが怖くて、あるいは恥ずかしくて逃げたという線も、あのメールを見る限り、ありえないだろう。
会いたければ探せ。
簡単に手に入ると思うなよ?
おまえのモノになど、死んでもなるものか。
そんな士郎なりの意趣返し。
抵抗であり宣戦布告ととらえるのが、おそらくは正しい。
まったく振り回してくれるものだ。
逃げられれば逃げられるほど燃える自分の性格を読んだかのような行動に、思わずニヤリと口角が上がる。
とはいえ、この広い学園内でまともに鬼ごっこをするのは、さすがに少しばかりしんどかった。
こんな時こそ利用すべきは権力である。
腰ポケットのスマートフォンを手に取り、全生徒の位置情報を探った。
「……さすがに、ンなバカじゃねェか」
電源が切られていては、逆探知は難しい。
だが、園内に無数に設置されている監視カメラ映像を解析すれば、自ずと居場所は知れる。
自分でやってもいいのだが、今はスピードが最優先だ。
問題はどうやってハルトを口説き落とすかだが。
「しゃーねェ、あの手を使うか」
スマートフォンでハルトを呼び出しながら、踵を返し、役員棟を目指した。
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