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追い詰めて(龍之介side)
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士郎が講堂にいると情報が入った瞬間、プールの水で濡れた髪を拭う間も惜しんで駆けつけた。
全ての出入り口の鍵を遠隔操作して閉じた。
講堂内はおあつらえ向きに完全防音だ。
一階後方中央のドアから入ったところで、ぐるりと辺りを見回した。
一階席にはいない。
さらに奥に進み二階席を見上げると、右後方に人影が見えた。
瞬間、助走をつけて座席の背に飛乗ると、そのまま二階席の床の縁に指をかけた。
グッと指先に力を入れて痛みに顔をしかめながらも身体を持ち上げると、側面のフェンスを軽々と乗り越えて、士郎の前に立った。
目の前の獲物はピクリと肩を揺らしたきり微動だにしない。
平静を装いながらもこちらの一挙一動に意識を尖らせているのがわかった。
どう料理してやろうかと胸が踊る。
一歩距離を詰めるたびに空気が張り詰めていくのが心地よかった。
逃げることはプライドが許さないのか、それとも最初から逃げるつもりなどないのか。
最終的に1メートルほどの距離を置いて、正面から向き合った。
座ったまま放たれる突き刺すような視線に、一昨日の夜の熱が鮮やかに蘇る。
触れたくて恋い焦がれた身体が目の前にあった。
焦れて先に距離を詰めたのは、自分の方だった。
「……おい」
肩に触れようとしたした手を、
「……気安く触るな」
間髪入れずに振り払われた。
その手をさすりながら、笑った。
「今さら何言ってンだ。ナカで触れ合って、奥で溶けたくせに」
「……っ。たった一度寝たくらいで、もう自分の女扱いか?」
「1度じゃねェ。……7回、奥で出した」
わざとゆっくり言ってやった。
「……獣だな」
「何とでも言え。初めてのヤツにずいぶんムチャなマネしたとは思うが、仕方ねェだろ。……よすぎて、止まんなかったンだ」
まだ、オマエのナカの熱さを覚えてる。
オマエは? と、ささやけば、士郎の瞳が潤み、額に汗が浮いた。
男は往々にして視覚から快感を拾うものだが、目の前の身体はひどく音に弱いらしい。
自分の声が濡れると、それに呼応するように溶けていく。
その姿に煽られて熱くなり、声はさらに甘い毒を含み、士郎を犯し……。
まるで2人して際限なく甘い闇に堕ちていくかのようだ。
……どこまで行ける?
限界を試してみたくなる。
不意の思いつきに、意地悪く笑った。
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