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導かれて(士郎side)
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冷たいヌメリが敏感な粘膜に触れた。
「……っ」
不快感の向こうで、ゾワリ……と妖しい熱が疼く。
明らかに何も知らなかった頃とは違う。
理性は拒んでも身体が覚えていた。
この部分で自分は確かに狂うほどに感じたのだと思い知らされた気がして、未知の恐怖感に、指先の動きが止まる。
「……触るだけかよ?」
こちらを煽るように、ピアノの低音が規則的に鳴り響く。
……不穏な音。
退屈させるなと言われているようで、ハッとした。
指先をかすめるように動かすと、まるで襞の一枚一枚が覚醒していくような錯覚に襲われた。
もっと……と訴える身体にショックを受け、体温が失われていく気がした。
だが、ここを超えて感じなければ、龍之介を煽ることなどできやしない。
キュッと唇を噛みしめ、必死に奥底からジワジワとせり上がってくる快感とつながろうとした。
しばらくの間、じっと見守っていた龍之介だったが、
「……足りねェな」
やがて、冷めた声で言った。
「そんなンで昇りつめるなんざ、永遠に無理だ」
声同様に冷えた瞳が見下ろしてくる。
「オマエも抱く側を経験してンなら、ナカの開き方くらいわかンだろ? ……もっと本気でやれよ。つーか、ためらうくらいならやめとくか?」
突き放されると思った瞬間、襲ってきたのは、安堵ではなく強烈な喪失感だった。
「……っ」
それを認めたくなくて、
「……いいから、黙って見てろ……っ」
ギリッと奥歯を噛みしめると、ヌメリをたっぷりと絡めて、ヌプ……と指先だけを中に挿し入れた。
「ん……っ」
……熱い。
中が異物を押し出そうと、キュッと締まる。
絡みつく動きに、中だけでなく指先からも疼くような快感がせり上がってくるような気がした。
感覚は波のように身体の隅々にまで広がり、甘いざわめきとなって返ってくる。
「は…っ」
すぼまりは誘い込むかのような収縮を繰り返し、恐る恐る力を込めると、底なし沼のように指先を深く呑み込んだ。
指で届く限界に達した瞬間、怖くなって指を引き抜くと、
「ん…っ…は…ぁ」
甘く痺れる場所をかすめ、突き出した腰が大きく揺れた。
「……ソコを、もっとだ」
目を細めた龍之介の声に、甘い毒を全身に塗り込められていく気がした。
「……もう一本、いけンだろ?」
中指に人差し指を添わせた瞬間、切なく甘い痺れが走る。
容赦なく執拗に纏わりついてくる。
指の動きとピアノの重低音が、次第にシンクロし始める。
「は…ぁ…」
まるで音に犯されているようだ。
「……いい表情になってきたじゃねェか」
龍之介の視線も声も濡れ始めている。
「あ…っ…」
グッと下肢に押しつけられた腰の熱さに、目をみはった。
「さわ…る…な」
「触ってねェ。……少なくとも手は使ってねェだろ?」
「やめ…っ…」
布の感触が勃ち上がった先端に擦れて、トプリと先走りが溢れた。
「……オレも苦しい」
このくらい許せと、甘い毒を含んだ声が切なげにささやいた。
「…っ、く……っ」
「イイカンジに溶けてきてる……。もう一本だ」
「……っ」
絶望的な気分になった。
こんなにキツいのに、もう一本なんてとても入る気がししなかった。
ただでさえ、龍之介が開いた時のダメージが癒えていないのだ。
薄氷の上を歩くように、かろうじて痛みの横をすり抜けて、快感を拾っているに過ぎない。
自然、指先の動きが止まる。
「……見ててやる」
大丈夫だと、黒曜石の瞳が語っていた。
「3本でも、オレのよりはずっと細いだろ?」
龍之介の熱を思い出した瞬間、中が強請るように大きくうねった。
気づいた龍之介が笑う。
「……そのままゆっくり堕ちてこい」
闇に広がる甘い毒のような声に導かれて、道を開く。
「もっと……っ」
何か言って欲しかった。
「……もっと?」
もどかしくて、思わず龍之介のシャツの襟元をつかんだ。
かろうじて一つだけ嵌められていたボタンが弾け飛ぶ。
はだけたシャツの隙間から、艶なかな肌と綺麗に割れた腹筋がのぞいた。
「……ンな物欲しそうな目してると、ヤッちまうぞ?」
静かな声音とは対照的に、指先が叩きつけるように勢いよく鍵盤に落ちる。
音が鳴り響いた瞬間、身体の芯が震えた。
次第に間隔を詰めて階段を駆け上がっていく音に、追い立てられている気分になる。
龍之介の細められた瞳の奥に、揺らめく炎を見た瞬間、
「……っ」
背筋を駆け抜けていく快感に、声もなく達していた。
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