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揺れる想い(龍之介side)
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ぶつかった衝撃の果てに、間近でその姿を目にした瞬間、瞼の奥が真っ赤に焼けた。
士郎が自分に傾きかけているのはわかっていた。
今が唯一最後のチャンスかもしれない。
プライドの塊のような男が走って自分に会いにきた。
抱きしめて、その場で押し倒してしまいたいほどの強烈な愛おしさを覚えた。
それでも。
100%ダメになるとわかっていても、今この瞬間、自分にはジンしか選べない。
重ねた視線を容赦なく切り捨てた。
ほんの一瞬の視線の交錯に、永遠を刻みつける。
強く激しく、ありったけの想いを込めて。
伝わるといいと、祈るように目を伏せた。
再び視線を上げた時には、やるべきことに意識を向けなければならない。
そう決意した矢先だった。
「……リュー、今のヤツだろ?」
「……黙れ」
いつになく低く堅い声音に、マコトが息を呑む。
深く沈めた想いを掘り返そうとするマコトに、心底腹が立った。
やっとのことで平静を装ってはいるが、こっちだってギリギリなのだ。
士郎の気持ちと、ジンの命。
比べるべくもない。
それでも、揺れる。
「……どうしょうもねェな」
もはや自分で自分を嘲笑うしかなかった。
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