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捜索(士郎side)
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不意にカチャリと、目の前のドアのロックが解除された。
先程ロックがかかっていることを確認したばかりのドアである。
明らかに作為的な匂いがした。
龍之介の周りを囲む生徒会役員達の、敵意に満ちた視線が蘇る。
理性が危険だとしきりに警告を送ってきたが、今ここでチャンスを逃したら二度とは近づけない予感があった。
覚悟を決めてノブのないドアに触れた。
ドアはすんなりスライドすると、ようやく人一人通り抜けられるほどの隙間から素早く侵入を果たすことができた。
案の定、背後で即座にガチャリとロックがかかる。
完全に退路を絶たれた形だ。
今この瞬間も誰かに見張られているのかと思うと、背中を冷たい汗が伝う。
飾り気の一切ない、明るく見通しのよい廊下。
数メートル先に脇道が見えた。
途中、幾つかドアがあったが、どれもカードと暗証番号のダブルロックになっており、入ることすら叶わない。
まさに袋のネズミだが、端から監視されているのなら隠れても無駄だと開き直った。
黙ってやられるつもりはなかったが、有益な情報が得られるのなら、大人しく嫉妬の標的になるのも悪くはない。
問題はこの地上5階建ての長方形の建物の、存在自体の薄気味悪さにあった。
学園内に一般生徒の立ち入りを禁止するエリアがあること自体はおかしなことでもなかったが、このセキュリティーの厳重さは尋常ではない。
克己を守る上で必要だと、入学当初、敷地内のあらゆるエリアを捜索して回ったが、学園内に生徒会役員棟を含め数カ所、どうしても内部をうかがい知ることができないエリアがあった。
厄介者ばかりを集めた挙句、姓を隠して生活させている時点ですでに普通とは言い難かったが、学園を隠れ蓑にした後ろ暗い何かがあるのかもしれないと、幼心に緊張したことを覚えている。
それからは何もないままに月日が流れ、自分達に害がないのなら構わないと達観を決め込んでいた。
だが、龍之介と関わる以上は見定めておく必要がある。
いったいこの奥に何がある?
進んでいくと踊り場があり、階段の脇にエレベーターが併設されていた。
見られているのならどちらも同じだと思ったが、エレベーターに閉じ込められる危険を考え、階段を選んだ。
あえて靴音が響く構造になっているのも、侵入者対策の一環なのだろう。
注意深く歩を進めても、ゴム底の音が気になり、冷や汗が浮かんだ。
外観から予測はしていたが、やはり生徒会役員数名の執務兼、生活空間としては広すぎた。
その時、廊下の向こう側から人の声が聞こえてきた。
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