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執務室の攻防③
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「そこでフリーズするんだ」
「……あの、いつ俺は本部長のものになったのでしょうか?」
「……ふーん、じゃあ昨晩の話とその続きをしようか、水上」
そういうと極上の微笑みとは違う、なにかゾッとしてしまうような微笑みを湛える佐伯を見て、真白は更に慌ててしまった。いつ佐伯のものになったとか、もうそんなの良いと思う。昨晩のどこかで佐伯の何かに触れたのだろう。自分では良く分からないが、考えても答えはきっとでない。そして、俺のものだと言われ悪い気が全くしない自分がいて、それなのに佐伯にいつ自分が佐伯のものになったのかと聞くのは卑怯な気すらしてきている。
「……弟に、ちゃんと言いました。ちゃんと分かってくれたと思います。あと…」
「うん?あと?」
「心配…してくれたの、すごく嬉しいです。ごめんなさい」
「嬉しいのはいいとして、なんで謝るの?」
「心配をかけさせるなんて、俺は…そんなつもりじゃなかったんです…ちゃんと出来てるつもりでいました。でも違ったんですよね…」
そう言うと真白は瞳を伏せた。佐伯は真白の顎を指で持ち上げ、こちらを見るように促した。真白の大きな瞳と視線があった。にっこりと微笑んでやり、そのまま唇を重ねた。優しく何度か啄ばむようにしてから、深くしていった。真白の閉じた唇を舌でノックしてやると、それに応えるように唇が開き真白の柔らかい舌が迎え出る。その舌をからめ捕り、根元を愛撫してやると、真白が喉の奥で喘ぐ。ねっとりと絡み合った口づけから、卑猥な水音が聞こえてくる。真白はその音に煽られているのか、佐伯の与える愛撫に必死になって付いていこうとしている。抱き寄せた真白の体からはどんどん力が抜けていく。息が苦しく感じ頭がジンジンと痺れていく…そんな感覚に陥っていた時に、佐伯はそっと真白の唇から離れた。
「このまま続きをしたい所だったけど、もう時間がないね。水上は、もう少しここで休んでいけ。その顔、余所でしたら俺は怒るから」
優しく耳元で囁かれる。吐息がかかるその刺激に真白はゾクゾクしてしまう。でも、佐伯にはたぶん自分と違ってもう時間がないのだろうと思い、そっと佐伯から体を離し佐伯をみつめる。その顔って言われているがどんな顔なのかは自分では分からない。暑いからたぶん赤面しているんだろうけれど…
「今日、定時で上がれそう?」
「……定時ですか…大丈夫だと思います」
「じゃあ、19時に下のエレベータホール」
「……はい?」
「デートしよう、水上。あと、今日は仕方ないけどそのチョコレート、食べちゃいな。牛乳もちゃんと飲んで」
そう言うと、佐伯は真白の唇に触れるだけのキスを落として執務室を出て行った。真白は顔が熱くなっているのを感じローテーブルにそっと頬を寄せて突っ伏した。ローテーブルがひどく冷たい。まだ心臓が早鐘のように鳴り響いている。これは確かに昼食時間終了まではここから出ない方がいいと思い突っ伏しながらも器用にチョコのパッケージを開け、チョコを一粒口に放り込む。チョコレートがいつもよりも甘くて早く溶けていく気がした。
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