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暑気払いしましょうの会
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「それでは、お時間きましたので、始めさせて頂きます。皆さま、お忙しい中、急な御誘いにも関わらずお集まり頂きましてありがとうございます。これで夏の暑さを一時的にでも忘れて頂き、月曜からまた元気にお仕事がんばりましょう!かんぱーい!!」
「「「「かんぱーい!!!」」」」
ここは社屋でも三番目に広い会議室。そこにはケータリングで頼んだ食べ物がたくさん並んでいる。飲み物は近くのスーパーで宅配にて届けてもらい、種類も豊富に揃えた。
真白はあの後、何軒か飲み屋などに電話をしたが店が見つからずに、それならばと徒歩0分の社屋で飲み会をやろうと決めた。その後、各所へお願いして回りすんなりと許可がおりた。だが、人数が当初考えていた人数をはるかに超えてしまったのだった。どこで嗅ぎつけたのか分からないが、他部署の人間も多く見られる。ケータリングの店やスーパーに連絡し商品を増やしてもらい会議室も急遽変更した。たまたま空いていたが幸いだった。真白だけではもう手が足りなくなり、手伝ってくれるという有志を集めお願いした。ほとんどパーティー状態になってしまった飲み会だが、無事セッティング出来、真白はとりあえず乾杯のビールを飲み、ホッと一息入れた。
「お前は、相変わらず面倒を背負い込むね? 水上」
耳触りの良い低音が真白の耳元に響いた。心臓が跳ね、顔に熱が集まる。振り向くとそこには長身の上司がいつもの微笑みを湛え真白の後ろに立っていた。
「本部長、お疲れ様です。本部長もいらしてたんですね」
「お前がなにかやるって前島から聞いたからね」
「……そうですか」
真白は前島が自分のお目付け役だと知って、どうにもそれが気に掛ってしまう。今この場で問いただすことはできないのでとりあえず頭の隅へ追いやった。
「おう!佐伯!来たか!」
前島がビールを片手に佐伯に向かって手を上げ歩いてきた。
「しかし、社内で飲み会開いちゃうなんてな。やるな、水上」
「俺一人じゃ出来ないですよ。周りのみんながかなり手伝ってくれました。急だったので、どの店もダメだったんですよ。だからいっそのこと会社でやれないかなって。入社したての時に顔合わせの後、会議室でケータリング頼んでたの思い出したので。…でもだいぶ人数増えちゃいましたね」
クスクスと真白が笑いながら話した。
この人数の飲み会をセッティングするのはかなり大変だったはずだが真白は無事に会が開けたことで、安堵の方が大きいようだ。佐伯が顔を出したのは、真白が幹事で飲み会を開くということの他にも理由があった。最近肩の力を徐々に抜いてきた真白は自然体の時の柔らかく少しだけ憂いを帯びた雰囲気を醸し出すようになり、周りが真白を気に留めるようになったからだ。
佐伯と関係を持ってから一カ月ほどだが時間が許す限り二人で過ごしている。体の関係もかなり回数を重ねている。その度に真白はどんどん進化しているようだ。佐伯は真白が変わっていく姿に毎回驚き煽られ、真白が止めてほしいと懇願するまで抱き潰してしまう。
平日はなるべく自重してはいるが、真白は佐伯を煽る天才かもしれなかった。
こうして飲み会の席でも真白に声をかけてくる人間に佐伯は笑顔の下でヤキモキしているのを真白は知らないのだろう。
皆が下心で近づいて来ている訳ではないが、中には下心ありありな輩が混ざる。そんなことに無頓着な真白は笑顔で応じている。佐伯はそういう真白に苛立ってしまう。
今日もこの後、真白を自分の家へ連れ込むつもりだ。明日は休みで気にせず真白を抱き潰せる。佐伯は話しかけてくる人々に笑顔で応じながら暗いことを画策していた。
会場が少しざわつく。皆の視線が会議室の入り口に注いだ。
「か、会長…!お疲れ様です!!!」
誰かがそう呟いた。
会議室の入り口には立派な髭を蓄えた背の高い老人と、恐らく秘書らしき中年男性が立っていた。
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