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心にささくれ
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佐伯の家へとまた帰り、少し多めの買い込んだ物を二人で片付ける。一息入れようと佐伯が言い、真白はそれに頷いた。佐伯の為にコーヒーを淹れようとコーヒーメーカーをセットする。真白はそのまま寝室へ向かい楽な部屋着に着替えた。佐伯はソファに座りテレビの電源を入れニュースにチャンネルを合わせる。着替えてそのままキッチンへ向かおうとする真白に目をやり微笑みながら声をかける。
「真白、そういえばさ」
「はい?なんです?」
「エプロン買ったんでしょ?」
「買いましたよ。料理しますから」
「なんで部屋着なんか着てるの?」
「……は?」
「裸エプロンって漢のロマンでしょ?」
裸…エプロン…?なに言ってんの?この人…
真白はフリーズしてしまった。裸エプロンは百歩譲って漢のロマンかもしれないが、どうして男の真白が裸エプロンをする側にまわるのだと理解できない。そんな真白をニコニコ微笑みながら佐伯が見つめる。
「…変な冗談はよしてください。人格疑いますよ?」
「どうして?だって自分の可愛いお嫁さんが、裸エプロンしてくれるのって漢のロマンでしょ?」
その一言を聞いて真白は再びフリーズした。
……およめさん…およめ…?さん?
「なんでフリーズしてるの?」
そう言いながら佐伯はソファから立ち、真白に寄って抱きしめた。真白は頭の回路がうまく働いてないのかまだフリーズしたまま佐伯の腕の中に収まっている。
「毎日キスして、抱きしめて、セックスして…なんだと思ってた?」
「……なんでしょう…俺っていつの間に佐伯さんのお嫁さんになったんでしょう?」
「ああ、確かに籍は入れてないね。じゃあ、恋人で。まあ呼び方なんてなんでもいいけどね。どういう風に呼ぼうがお前の全部は俺のものなんだから」
「……佐伯さんは?」
「うん?」
「佐伯さんは…俺のものですか?」
「…そのはずだけど…そんなこと今更言ってくるなんてね…真白は変だね」
「…変ですか?」
「ちょっとね」
「佐伯さんほどじゃないと思いますけどね…」
そういうと二人はしばらく見つめ合いそっと唇を重ねた。二、三度互いの唇を啄ばみそして深く合わせる。佐伯の舌が真白の口内に侵入し真白の舌がそれを迎え絡めた。暫くお互いの熱を確かめ合うように口づけし、名残惜しそうに離れていった。佐伯はぎゅうっと真白を抱きしめ、真白も佐伯の背中に腕を回し隙間を埋めるように抱きしめあった。そして佐伯がふっと真白の耳元に囁く。
「真白、裸エプロンしてくれる気になった?」
「……なりません」
「…それは残念」
「…コーヒー、入れますね」
ニッコリと佐伯に笑い、そっと佐伯から離れると真白はキッチンに行き佐伯のカップと自分のカップにコーヒーを注ぐ。真白はカフェオレ、佐伯はブラック。いつの間にか佐伯の好みのコーヒー豆や淹れ方を覚えていた。今日は買い物中に言った通り肉じゃがを作る予定だ。味の好みが佐伯に合うかどうか分からないが、真白は佐伯の事を知れる喜びを感じ胸が暖かくなる。
『佐伯さんって…すごいカッコいいね』
ふっと真帆の言葉が真白の脳裏に蘇った。真帆の言うとおり佐伯はカッコいい。仕事場でも佐伯は男女問わず人気がある。忙しく動いている中でもどこか余裕のある大人の雰囲気と色気。いつも湛えている微笑みは人々の目を奪っていることもしばしばだ。佐伯に気がある人間も多いことだろう。真白は、自分の思考が良くない所に落ちてきて、軽く頭を振りそれらを追い出した。考えても仕方ない事は考えない。そう自分に言い聞かせ、カップを持って佐伯のいるソファへと向かった。
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