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邪魔者と性悪男
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雑談に流れていく話題を佐伯が戻すように軽く溜息をし、真白に話しかける。
「…お前が実家を出なくても、特に変わらないだろうと思うけどね。むしろ、水上。お前、まさかずっと弟妹の面倒見ていこうと思ってるの? お前の人生、弟妹たちにあげるわけ?」
「え…まさか…それはいやですよ」
「だろうね。なら、ここでまた実家に戻ったって何も変わらない。いや、悪くなる一方だろうね、水上」
それを聞いていた前島も同意したように頷く。
「だなあ。兄弟だからって、同じ人間じゃねぇんだし。ずっと一緒に変わらない状態を保つなんて無理だろうしな」
「…わかりました。実家には戻りませんし、今まで通り、真尋には言い聞かせていきます。…きっと…分かってくれると思います。根はとても優しくて良い子なんです」
自分に言い聞かせるように真白は言った。真白は真尋を信じたい。信じていたかった。あんなバカな事をしても真尋は大事な家族だ。真尋を信じようという気持ちが折れそうなのを踏ん張り支えるように、真白は笑った。でもそんな真白の悲痛な笑顔が佐伯には泣いているように見えた。前島がいなければ抱きしめてキスをして安心させてやりたかった。前島、やっぱり邪魔だなーと思い、前島に視線をやると、佐伯の心の声が聞こえたのか前島がげんなりした顔で佐伯を見返していた。
「…飯も食ったし、邪魔者は消えればいいんだろ…」
「おや、やっと空気読んだんだ」
「あのな…。ホントにイヤな奴だな…ったく。水上、なんでこんなのがいいんだよ…こいつは正直言って性格悪いぞ」
げんなりとした顔で前島が真白に言う。真白はキョトンとしたが、すぐに、ふふっと小さく笑い横目で佐伯を見つめながら前島の意見を肯定した。
「…そうですね…否定はしません」
「否定、してくれないのか…」
それでも、優しく佐伯は真白に微笑みかける。真白もそんな佐伯に応えるように微笑み、少し照れながら佐伯の目をしっかりと見て、はっきりと言った。
「でも、仕方ないです。好きになっちゃったんです」
真白は、もう前島が二人の関係を知っているのだから、今更誤魔化しても無駄だと思い、素直にそう告げた。それに、文句を言いながらも真白を気にかけてくれる前島には正直でいたいと思っている。そして、真白からのはっきりと素直な愛の告白を聞いた佐伯は、前島がいなかったら真白を会社にも関わらず押し倒していたかもしれない。ああ、やっぱり前島、邪魔だなーと佐伯は再度思った。
そんな二人をジト目で見ながら前島は盛大に溜息をついた。二人のラブラブなピンクのオーラにやられそうだ。リア充爆ぜろな気分だ。しかも、前島は最近付き合っていた彼女から別れを告げられたばかりで、大いに面白くない。
「あーあ、ったくよー。好きにしてくれ。水上、午後は他の奴らに仕事回すから、お前はとりあえず午後休取って家で休めよ。有給全然取ってねえし、丁度いいだろ。顔色も、まだ酷いぞ。」
前島に帰るように促された真白は一瞬、仕事が気になった。だが痛む胃とひどく沈んでなかなか浮上出来ない気分では良い仕事は出来なさそうだし、何か失敗しそうだ。真白は大人しく従う事にした。
「……わかりました。そうさせて頂きます。すみません…」
「俺も帰ろうかな…」
「お前はこれから役員会議だろうが! そろそろ時間だぞ、支度しておけよ。ったくよー」
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