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六彌、突します
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真白はとても困っていた。
普段鳴らないマンションの外玄関のインターフォンが佐伯の留守中に鳴ったのだ。疑似モニターが夕食の支度をしていた真白の目の端に映り、視線を向けてズームすると、そこには人の良さそうな…というより、佐伯に良く似た人物が立っていた。
『こんばんはー。真白くん? いるんでしょ? 七生の兄の佐伯 六彌です。ここ開けてー。お土産に千疋屋のメロン買ってきたよ〜』
そう言いニコニコと下のエントランスのドアが開くのを待っていた。佐伯からは何も聞かされてなかった。佐伯が今日は建設中の海上都市モジュールの視察に行くと言っていた。少し帰りが遅くなるからと言っていたが、六彌の事は聞いていない。しかし、佐伯の兄弟を居留守まで使って無視するような度胸を真白は持っていない。ドキドキしながら、解錠ボタンを押すと、六彌はヒラヒラと手を振り中へと入っていった。
「いやー、ごめんねぇ? 突然押し掛けちゃって。ハイこれ、メロンどうぞ」
「あ、ありがとうございます。あの…佐伯さん…七生さんはまだ帰って来てなくて…」
「知ってる。だから来たんだよ。居る時に来たら入れてくれなさそうだから」
ニコニコと笑って六彌が言う。六彌はなんだかチャラい。髪も年齢に関わらず明るめの茶色に染めていて、社でも目立っていた。だが、仕事は出来るということだ。真白は直接会社で話をした事がない上司に戸惑っているが、そんな真白を面白そうに六彌は見ていた。
「…あ、お茶入れますね…」
「お茶よりさ、一杯やろうよ。そうだ!七生の持ってるワインの一番良いヤツ開けちゃおう!」
そう言うとウキウキしながら六彌はワインセラーに行って中を物色し始める。真白は止める事も出来ずに、オロオロとする事しか出来なかった。
「あ、あの…怒られちゃいません?」
「あははは。大丈夫でしょ。それより、何か作ってたんだよね? アテになるような物はある?」
「え、あ、はい。少しお待ちください…」
そう言うと真白は冷蔵庫に先程作ったサーモンのクリームチーズ和えを出した。六彌はそれを見て、いいね〜と頷く。それと、お土産に貰ったメロンを一口サイズに切って六彌に出す。六彌は勝手に高そうな佐伯のワインを開けると真白にも勧めてきた。真白は赤ワインが飲めないが、上司であり、佐伯の兄である人からの誘いを断れずに、グラスを差しだした。丁度その時、佐伯が帰ってきた。
「…なんでいる…!」
「あ、おかえり~七生~。遅いから先に始めちゃったよ」
「おかえりなさい。佐伯さん…あの…」
「…とりあえず、六彌。真白に赤ワインを勧めないで。真白も飲まなくて良いから」
「え? 真白ちゃん、飲めないの?」
「真白は片頭痛持ちで赤ワインが飲めないんだよ」
「え?! 言ってよ、真白ちゃん! こういう事は遠慮する事じゃないよ?」
「えっと、じゃあ…あの…すみません、飲めません」
「「いま言うか…!」」
二人の声が重なり呆れたように言う。真白は二人に同じ事を同じタイミング同じような声で言われ、なんだかおかしくてクスクス笑った。そして、二人に食事をして貰おうと、キッチンへと向かった。今日は寒いので、鶏団子入りの湯豆腐にした。野菜もたくさん用意していて良かった。これなら三人いてもお腹がいっぱいになるだろう。自分の分の焼酎と佐伯の分のワイングラスを用意し、ダイニングテーブルに持っていき、佐伯の横に座る。湯豆腐をみんなに取り分け、乾杯をした。
「いいね~尽くす子だね~。若いし可愛いし料理出来て仕事も出来るって、なにこのハイスペックな恋人。七生には勿体ないなぁ~」
「うるさい、黙れ。チャラバカ六彌」
「ねぇねぇ、真白ちゃん。こんなの捨てちゃって、俺と付き合おうよ? たくさん可愛がってあげるよ? ちなみに俺、セックスも上手だよ?」
それを聞いて、真白は飲んでいた焼酎の水割りを噴きだしそうになった。別にセックスが上手だから佐伯と付き合っている訳ではない。なにを言ってんのこの人と、真白は顔を真っ赤にしながらちょっと呆れた風に六彌を見た。
「…変な事…言わないでください…」
「え? 大事でしょ? 夜の営みで奥さん満足させるのは」
「もう、六彌しゃべるな。それに真白はちゃんと満足してる」
「もう止めて~!!!!!」
真白はとうとうテーブルに突っ伏した。なにこのセクハラオヤジ兄弟。もうイヤ!真白は顔がどんどん熱くなるのを感じて、なかなか顔を上げられなくなってしまったのだった。
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