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仲良し兄弟
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「…いつまで居る気?」
「え? 泊っていく気満々だんだけど?」
「帰れ!」
「じゃあ、風呂上がりの真白ちゃん、拝んでから帰るよ」
「真白が風呂から上がる前に帰れ!」
「いーじゃん……しかし、真白ちゃんに会って思ったけど…本当にそっくりだね、あれ」
「真白には言うなよ…」
「言う訳ないでしょ? ただ、なんで真白ちゃんにそっくりなんだろうね…って」
真白にそっくりな人型マモンの事だ。そんなの佐伯だって知りたい。この件は社でも極秘扱いだ。監察部の一部の人間と佐伯達上層部しか知らない。自分達の作っているモジュールに一度だけしか現れていないマモンについて調べるには、とにかく資料が足りなかった。鮫島捜査官は、何か知っているのだろうか…
「…六彌の方からアプローチ出来そう?」
「どうかね~。鮫島さんって基本、のらりくらりで、結局何も教えてくれないって人だったし…」
鮫島捜査官は六彌と大学時代、同じ研究室にいた先輩後輩の間柄だった。情報関係の研究をしていて、その手腕を買われていた。そして当時から秘密主義で通ってた。普段の鮫島はとても穏やかな人だが、大学にいる以外の行動は謎だった。といっても六彌は特に興味がなかったので、鮫島の事は基本的には良く知らない。仕事で出会ってから、時々すれ違う時に話をする程度だ。
しばらく人型マモンの話をしていると、真白が風呂から上がった気配を二人は感じて、話を打ち切った。リビングの扉が開き、真白が微笑みながら入ってきた。
「…お風呂、頂きました。佐伯さん…あ…七生さん、どうしますか?」
長めに湯船に浸かってきたせいか、真白の頬はいつもよりも赤く上気して、まだ少し濡れている髪が額に付いている。その姿は少しだけ情事の時の真白を連想させた。
「六彌、目玉掘り出せ!」
「何言ってんだ! この色バカ七生!」
「もーやめてくださいよ…」
この兄弟はいつもこうなのだろうか?真白と真尋とは大違いだった。言いたい事を言い合ってるって感じだ。口は悪いし、エロ事言ってるし。でも真白は少し羨ましく思う。こうやって言いたい事を言い合える兄弟だったら、真白も真尋も変に悩まなくて済んだ。真白はなんでも受け入れてきて甘やかしてきた事を後悔した。今更突き放して、真尋は混乱している。真白は胸がチクチクと痛んだ。
「真白? どうした?」
佐伯の声にハッと気づく。佐伯は真白の顔が深刻そうになっているのを心配した。六彌も真白の顔を見てどうしたの?と首を傾げてる。
「あ、いいえ。二人とも、仲良いですよねって思って」
「「全然!!」」
本当に仲が良い兄弟。そう思って真白は微笑んだ。いつか真尋ともこうやって過ごせる兄弟になりたい。真白は久しぶりに真尋に連絡を取ってみようかと考えていた。
六彌が帰ってから、真白と佐伯は二人でぼんやりとテレビを見ていた。そろそろ寝ようかと佐伯が真白の手をとってソファから立たせる。真白も大人しく佐伯の手を握る。今日は佐伯の知らない一面が見られて楽しかった。六彌さんも良い人で安心した。真白のことを受け入れてくれていた。真白はそれがとても嬉しかったし心が安定した。
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