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ニブイよね
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新舞浜フロンティア市の市立病院に運ばれ、治療を受けている時に真白は佐伯に連絡を取ろうか迷っていた。家まで送ると言ってくれた鮫島に真白は丁重に断りを入れた。鮫島は真白の治療が終わると、後日で良いから話を聞きたいので連絡すると言って去っていった。
「白兄、歩けそう?」
「おぶろうか?」
「いや、それはさすがに…大丈夫だよ。ゆっくり歩くから」
「ねぇ、白兄ちゃん。佐伯さんに連絡して迎えに来てもらったら?」
「……はい?」
真帆の言葉に真白がフリーズした。真白は真帆をじっと見る。そんな真白に真帆はニッコリと微笑んだ。真尋は二人を交互に見て、首を傾げる。
「ね? そうしなよ? 佐伯さんに連絡。ね?」
「佐伯さん…って兄さんの上司の人だろ?」
「…尋兄ってホントに…ニブイよね…」
「……は?」
真尋は眉間に皺を寄せて真帆を見ている。真帆は呆れたようにそんな真尋を見た。真帆は真白が思っているよりずっとしっかりとした女性になっていた。ちゃんと佐伯と真白の関係を見抜いて、気を回してる。でも真尋は何がなんだか分からないらしい。男と女の違いなのか、ただ真尋が鈍いのか。真白はそんな二人を見て笑ってしまった。なんで笑うの?と二人は真白を見て頬を膨らませる。そんな所は二人とも子どもの時から変わらない。真白は二人に居住まいを正して微笑み、大事な告白をした。
「…真尋、真帆。俺ね、佐伯さんと一緒に暮らしてます。佐伯さんの事、愛してます」
「…やっぱりね!」
「…えええええええ!!!」
二人の反応は正反対だった。真帆は顔を綻ばせて、言ってくれてありがとうと言うが、真尋はまだ把握しきれてないのか、ポカンとした顔をしていた。真帆に急かされて、真白は佐伯に連絡を入れた。佐伯はすぐに迎えに行くと言ってくれたが、舞浜の船着き場で待ち合わせをした。佐伯は自家用ヘリをチャーターするとか言いだしたので全力で止めた。病院から新舞浜フロンティアの船着き場までタクシーで向かい、三人は船を待った。真帆はさっき観た映画のパンフレットデータを端末で見て、時々真白に話しかけてきた。真尋はぼんやり海を眺めてる。そんな二人を見て、真白は胸がチクリと痛んだ。今日は楽しい日になるはずだったのに…こんなことになってしまって、二人に申し訳なかった。
「真尋、真帆。今日はなんだかごめんね…せっかく楽しみにしてたのに…」
「え? 白兄は何も悪くないでしょ!?」
「そ、そうだよ? なんで兄さんがあやまんの?」
「…うん。そんなふうに言ってくれてありがとう。俺も楽しみにしてたし…また三人でどこか遊びに行きたいな」
「うん! またどこか行こうよ! どこがいいかな?」
「…今回海だったし、山とか行く?」
「高原的なところ?」
乗船してからは、次は泊りでどこか行こうという話で盛り上がった。真白の足が治ってみんなの休みが合う時に、旅行に行こうと真帆が言う。三人で旅行へ行った事がなかったから、真白は計画してもいいと思った。そうこうしているうちに舞浜の船着き場へ船が着く。ゲートの外側に、愛しい人の姿を見た真白は思わず安堵し顔が綻んで、抱きつきそうになったが、真尋と真帆がいたのを思い出し寸前で踏みとどまった。だが、佐伯は真白の腕を引き、思いっきり抱きしめた。
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