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我慢の限界
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真白が酒が足りなくなってきたのでキッチンへ向かった。真尋と真姫菜、そして真帆は近状報告をはじめている。佐伯はそっと席を立ち、三人から少し離れた窓の外を見る。
佐伯の視線の先には、黒い乗用車が一台停まっていた。中には若い男と中年の男がいる。
「…真白さん、何かありましたか?」
小声で話しかけられ、その声の主に目をやる。高橋だった。朝、真白が実家に帰ってきた時から高橋は気付いていた。真白には尾行が付いている。
「…大丈夫ですよ。心配なさらないでください」
「…真白さんの事、よろしくお願いします。私達は、明日にはフランスにたってしまいますから…」
「ええ、大丈夫。真白は俺が守りますから」
そう言うと、高橋は安心したように微笑んだ。真白はずっと誰かに監視されてた。誰だかは分かっていた。鮫島達だろう。あの男は、真白に似た人型マモンの存在を知ってから、ずっと真白をマークしていた。
真白のブレスレット型端末には、盗聴器がしこまれているのも分かっていた。だがそれは真白には知らせるつもりはない。知らせても仕方ないことだ。だが情事に耽る時だけは、佐伯は真白に端末を外させている。真白の可愛い鳴き声を、他の誰かに聞かせる事だけは絶対に出来ない。もしそんな事があったならば…と佐伯は考えるだけで気が狂いそうになる。
しかしそれでも、限界にきていた。もう少し、もう少しの我慢だと自分に言い聞かせ、なんとか乗り切ってきたのだった。だが、もう我慢の限界だった。
佐伯はもう一度、窓の外の監視の目に視線をやると、怒りの籠った瞳で睨みつけた。
「佐伯さん? どうしました?」
佐伯が振り向くと、真白が焼酎のセットをローテーブルに置き、佐伯に微笑む。佐伯は真白にいつもの優しい微笑みを返すと、真白の元へと戻っていった。
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