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好きな人の失恋は自分の失恋でもある。
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それは僕が中学2年生の頃だった。
その頃から草薙先輩はかっこよくて、優しかった。
僕とは違う世界の人、そんな印象だった。
大して気にしたこともなかった。だけど。
やりたくもない図書委員会になり、草薙先輩も図書委員会だった。
学年で当番制ではなく、くじ引きで決めた当番相手は草薙先輩とだった。
「よろしく」
「よろしくお願いします」
そんな会話しかなくて、僕は素っ気なくて印象は最悪だったと思う。
だけど毎週二回の当番の時、草薙先輩は優しくしてくれた。
暇な時は勉強を教えてくれたし、僕のぎこちない話に相槌をうってくれるし、絶対、目を見てくれるし。
そして決定的に僕が草薙先輩を好きになる出来事が起こる。
僕は根暗ですぐ真っ赤になって、クラスメイトにからかわれる対象だった。
今日もからかわれて、林檎ちゃんなんて言われて。
やめて欲しくて必死に言葉を紡ぐけど、顔は更に真っ赤になって益々笑われて。
悔しくて、悲しくて泣きそうだった。
そしたらそこに草薙先輩がヒーローのように現れたんだ。
「からかうのは良くない。それに、見てて不快だ。お前たちは、人にからかわれないくらい完璧なのか?」
クラスメイト達は言葉に詰まって、僕に謝罪してくれた。
僕も、吃ってごめんねだけど仕方ないから許してねって言った。
それからクラスメイトとの仲は良かった。
本当にあの時の草薙先輩はヒーローだった。
その後の図書室でも、悔しかったら泣いてもいいんだよって言ってくれて。
ポロポロ涙を情けなく流す僕の頭と背中を撫でてくれてた。
これで好きにならないはずがなかった。
僕は単純だから。
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