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好きな人の失恋は自分の失恋でもある。
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草薙先輩が中学を卒業してしまった時は、ひたすらに泣いて泣いて。何とか先生から草薙先輩が受かった高校を聞き出して。
必死に勉強して、やっと受かって。
久しぶりに草薙先輩に会えるって僕の心は締め付けられたように苦しくて、だけど嬉しくて。キュンとしてた。
だけど、草薙先輩は今まで以上にモテていて。
そしてとってもかっこいい人に惚れていた。
無理だって思って諦めようとも思った。
ここまで追いかけてきたのにバカだとも思った。
恋人になれるだなんて幻想抱いていたのかな?
だけど。あの時の優しさと。
「あれ?林檎?ここに入学したんだ。また一緒だね」
そう言って笑う草薙先輩を諦められるはずがなかった。
それからはひたすらに目で追うばかり。
時々目が合えば笑ってくれる。
それに真っ赤になりながらも、手を小さく振れば草薙先輩も振り返してくれる。
————————好きです。
そう言ってしまいたい。心はこんなに叫んでいるのに。
***
「林檎、何か探し物?」
「ひぇっ?あ...草薙先輩」
「驚かせた?ごめん」
図書室で偶然会った草薙先輩。
久しぶりにこんな近くで話した気がする。
「草薙先輩は、何を?」
「うーん、やる事なかったからかな。暇人だから」
そう言って笑う草薙先輩の横顔に胸がキュンとする。
「せ、先輩は、柳瀬先輩が好きって、本当ですか?」
僕が唐突に聞けば、草薙先輩はキョトンとした後にふわりと笑った。
「うん、好きだよ」
「———っ」
聞かなければ、良かった。
その顔はあまりにも綺麗だった。
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