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手に入らないもの。
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帰路につけば、雀からメールが入っていて。
先に帰ってしまったのかという確認だった。
いつも一緒に帰っているのに、黙って先に帰ったのは初めてだった。
ごめん、と一言返してスマホの電源をオフにする。
目を閉じれば、俺の"ハジメテ"と"2回目"の映像が脳裏に流れる。
ボロボロとまた涙が溢れた。
俺だって。俺だって好きな人と、雀と初めてをしたかった。
急に自分が汚れて見えた。
あんなに綺麗な雀に触れていいのか。
俺は汚い。とっても、汚い。
あの綺麗な銀に触ってはいけない。
***
次の日、登校すると廊下に柳瀬と久野がいた。
柳瀬は雰囲気が柔らかくなったと思う。
「おはよう、宮下」
ふと声を掛けられ振り向けば草薙と林檎色の後輩。
「実は、この子——林檎と付き合ってるんだ」
本当に林檎って名前なのか。そう思ったと同時に心の内側からドロリとしたものが流れ出た気がした。
「草薙先輩、林檎、おはようございます」
後ろから、先程まで談笑していた柳瀬と久野が話しかけてくる。
やめろって。今、俺に話しかけるなよ。
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