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手に入らないもの。
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別れ話。
雀と、別れる。
自分が悪いのに、とても悲しかった。
全てに駄々こねて、本当に子供だ、俺。
何も言わなくても、雀は俺が何に怒ってるのか分かってくれると思ってしまって。
分からなくても雀は自分の肩を持ってくれると思ってた。
ダメだった。
あの時も、今回も。
何気ない幸せを自分で壊すんだ。
「宮下...」
草薙が無言で涙する俺に、おそるおそる声をかけてくれた。
「草薙、柳瀬...ごめん。俺帰るな」
ちらほらと他の生徒も登校し始めて、俺たちの事を遠巻きに見ていた。
情けない。
こんなの、八つ当たりだって分かってる。妬みだって分かってるのに。
自分で自分が制御出来なかったんだ。
その日の夜、雀から話し合いの時間と場所を告げるメールが来た。
***
次の日、朝早くに家を出て学校の空き教室に入る。
雀はもうきていて、窓の外を眺めていた。
「.....落ち着いた?」
「....あぁ」
問われて、小さく返す。
ふと、雀の視線が窓の外から俺に移った。
だめ、だめだ。
俺はまだ、雀の事大好きだから、目を見てしまったら泣いてしまう。
やっと甘える事が出来て、大切にして貰えた。
そんな幸せな日々を思い出してしまう。
目を合わせたら好きだと泣きついてしまう。
触れると、意外と暖かい髪。
低体温な肌、唇。
細いのに筋肉質な腕に優しく包まれて、髪を撫でられる。
おでこ、鼻、頰、口にフレンチ・キスをして最後に甘く好きだと言ってくれる声。
思い出してしまったら、きりがなかった。
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