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君じゃなきゃ嫌だ
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ある日の放課後、帰ろうと教室を出た俺の前を丁度雀が通り過ぎようとしていた。
その瞬間、バッチリ目が合った。
「雀!」
反射的に呼びかけた。
「ん?どうしたの?」
とりあえず、呼びかけに応じてくれた雀に安堵する。
「え、と...あの時の事、ちゃんとお礼言ってなかったから。遅くなったけど...ありがと」
「...どういたしまして」
びっくりした顔の後ふんわり笑って返してくれた。
「で、草薙とは上手くいってるの?」
話を振られると思っていなかった俺はびっくりしたし、その内容にもびっくりした。
「草薙とは、普通に友達だけど...」
「え?付き合わないの?見ている限りでは草薙は宮下の事好きなのに」
え?俺の事を草薙が好き?
それよりも。
「苗字...?」
そう。名前で呼んでいてくれたのが苗字呼びになってる。
「ああ。草薙に勘違いされたくないでしょ」
ツキン。胸が痛んだ。
なんで。なんで。
胸が痛む理由なんて、俺はもう分かってる。
だから、そのなんでじゃなくて。
なんで、そんなによそよそしいの。
思わず、泣きそうになった。
「....伊吹、ちょっと」
いきなり雀に腕を掴まれて、歩き出す。
不思議に思ったけど、名前を呼んでくれた事に俺は安堵した。
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